タックル問題の宮川選手と日大の会見まとめ!誠意のない対応に、今後日大が崩壊する!?

日本大学アメフト部のDL宮川選手が関西学院大学アメフト部のQBに悪質なタックルをし怪我を負わせた問題で、宮川選手と日大の会見の差に大きな波紋が広がっています。今回は会見の内容やネットの反応、基本的なアメフトのルールなどを解説したいと思います。

日大アメフト部・宮川選手の危険タックルの概要

2018年5月6日、東京都調布市で行われた日本大学(以下日大)と関西学院大学(以下関学)の定期戦で、悪質ともとれるラフプレーが発生しました。ラフプレーを行ったのは日大アメフトチームのDL(ディフェンシブライン)宮川選手。このプレーにより、関学側のQB(クォーターバック)がひざなどに全治3週間の怪我を負う事態となりました。

宮川選手は既にパスを投げ終えていた関学QBの選手に背後から激しくタックル。負傷した関学QBはサイドラインに下がり、一時別の選手と交代しました。このプレーに審判は「アンネサセリーラフネス(不必要な乱暴行為)」を適用、日大側は15ヤードの罰退を命じられました。

反則行為を連発…退場処分に

その後も宮川選手は反則行為を連発。負傷した関学選手と交代で出場したQBが、自身の目の前でRB(ランニングバック)へボールを手渡ししたにも関わらず、ボールを持つRBではなくQBへタックル。このようなプレーを続けた結果、最終的に宮川選手は退場処分となってしまいました。

 

日大アメフト部・宮川選手の記者会見の様子

宮川選手は22日、詰めかける報道陣358人の前で記者会見を行いました。「顔を出さない謝罪はないだろう」と実名と顔を公表した上で今回の騒動について謝罪。「真実を明らかにすることが償いの第一歩である」として、反則プレーにいたった経緯をつまびらかにしました。

精悍ながらまだあどけなさの残る、20歳になったばかりの宮川選手の顔に無数のフラッシュが焚かれる光景は、痛々しくすら感じます。それでも宮川選手は、時折言葉を震わせながらも気丈にコメントし、涙で取り繕うようなこともしませんでした。

 

宮川選手の会見で明かされた反則にいたった経緯

5月3日の実戦形式の練習中、宮川選手は突然練習から外されたそうです。それを境に、内田前監督やコーチ陣から厳しく指導されるようになりました。「練習にも試合にも出さない」「日本代表に行っちゃダメだ」宮川選手は徐々に追い詰められていったようです。

そしてコーチから「監督が相手QBを1プレー目で潰せば試合に出してやると言っている」という主旨の発言をされました。QBを潰すというのが、誇張ではなく文字通りの意味だと捉え、追い詰められ悩んだといいます。悩んだ末、宮川選手は「ここでやらなければ後がない」と反則プレーを決意しました。

定期戦での反則プレーとその後

タックル直後は何も考えられない状態で、関学QBが怪我で交代したことにも気づかなかったそうです。退場後、ことの重大さに気づき泣いていた宮川選手について、コーチは「優しすぎるところがダメなんだ」と非難しました。

 

日大アメフト部・前監督とコーチの記者会見の様子

5月24日、日大アメフト部前監督の内田正人氏と井上奨コーチが会見を開きました。会場では報道陣と日大広報担当者が言い合いになるなど波乱含みの展開。会見内容もさることながら、「日本大学」という共同体としてのあり方も問われる内容となりました。

会見では、22日に宮川選手が明かした経緯についての質問が飛び交いました。QBを潰せと発言したことについて、井上コーチは「発言はしたが、怪我をさせる意図はなかった」と証言しています。また内田前監督は「タックルしろという指示は出していない」とのこと。

 

宮川選手とは大違い?監督・コーチが認めた非とは

前監督、コーチともに会見内で謝罪しているものの「意図はない」「指示は出していない」では一体何に対する謝罪なのでしょうか?内田前監督はこんな発言をしています。「宮川選手が不安定になっていることに気付かなかった。それがこの結果を招いた」

つまり「あくまでラフプレーは精神的に不安定だった宮川選手の暴走であり、それを止められなかったことについては自分に責任がある」というわけですね。井上コーチも同様に「誤解を招く発言をしてしまった」と「宮川選手が誤解で暴走した」ことをアピールしています。

 

浮き彫りになった宮川選手と日大側の誠意の差

具体的に反則にいたった経緯を語った宮川選手の会見は「真実を明かすことが償いの一歩になる」という言葉が嘘でないことを証明する内容でした。一方前監督・コーチの会見は、謝罪の言葉を繰り返すものの曖昧な発言が目立ち、関学選手をおもんばかる姿勢もほとんど見られませんでした。

また「たとえ指示があったとしても私自身が“やらない”という判断ができず、私の行為によって相手選手に怪我を負わせてしまった」と言い切った宮川選手に対し、あくまで大部分は宮川選手の責任であるとしたうえで「(経緯の一部は)僕の責任です」と述べた日大側の責任の所在の示し方には大きな差があると言わざるを得ません。

 

弁護士の要請無視、宮川選手の記者会見でマスコミにも問題

会見冒頭、まだ学生である宮川選手に配慮して「長時間(顔を)アップで撮ることは避けてほしい」と弁護士から要請があったにも関わらず、各番組は会見の大半をアップで撮影していました。前途ある若者の将来に配慮してほしいという弁護士からの嘆願がむげなく黙殺されたことを、東洋経済オンラインの記事が伝え反響を呼びました。

真実よりも話題性重視…報道陣の姿勢に疑問

また、質疑応答でも報道陣の姿勢に疑問を感じる場面が多々ありました。既に説明済みの事柄を、再度言葉を変えて質問しなおし新たな証言を引き出そうという目論見や「反則プレーをしていなかったらどうなっていた?」などの答えようのない質問が相次ぎました。

さらに「自分が語ることではありません」と宮川選手がはっきり口にしているにも関わらず、執拗に前監督・コーチについて質問をする記者も多数。前監督・コーチを叩くネタを欲しがっているのが明らかで、見ているこっちも辟易。しまいには「今後もアメフトをやった方がいいんじゃないですか?」と宮川選手の失言を引き出そうとする記者も。

 

元アメフト選手・有馬隼人が証明した宮川選手の真の姿

思わず閉口するような質問が相次ぐ中「TOKYO MX NEWS」の有馬隼人さんの質問は真実を追究していました。有馬さんは「最初の反則タックルの際、プレーが終了していたことは認識していた?」と質問したのです。宮川選手は「プレー終了は気づいていました」と回答。

有馬さんは関学のOBで、2012年まで現役で活躍した元QB選手です。会見後「宮川選手がフィールド内の状況を把握してプレーできる、優秀な選手だと質問で証明された。そんな彼が、反則プレー時は異常な状態に陥っていた。その原因は究明されるべきだ」と語っています。

 

宮川選手・日大・マスコミ それぞれに対するネットの反応

SNSなどの反応を見てみると、宮川選手に対しては案の定というべきか同情的な意見が多く見られます。特に前監督・コーチの会見と比較し「宮川選手は立派だった」「宮川選手があれほど毅然と対応したのに、なぜ監督やコーチはそれができないのか」といった声が上がっています。

また一部「宮川選手を擁護すべきではない」という意見も。「傷害を起こしたのに聖人君子扱いか」と憤る声にも一理あるかと思います。ただ、異常な精神状態の中で、日頃からQBに激しいラッシュをかけるポジションの宮川選手が、監督やコーチの指示を「傷害」と受け止めていたか「反則行為」と捉えていたかも議論の余地があるでしょう。

日大側とマスコミに対する反応

日大前監督・コーチに対しては、何故か国会問題と絡めた意見が非常に多く見られ、「監督も安倍首相も嘘つきなところが共通点」「日大と森加計がかぶる」といった発言が目立ちます。マスコミに関しては「正義の味方として叩きたいだけ」「人権より特ダネの方が大切」など、報道のあり方に疑問を呈する声が多く聞かれました。

 

宮川選手のタックルで問題になったアメフトってどんな競技?①

今更感はありますが、そもそもアメフトがどんな競技なのか超ざっくりと紹介したいと思います。アメフトは陣取り合戦。長方形のフィールドの両端にエンドゾーンと呼ばれるエリアがあります。大体9メートル×49メートルくらいの面積です。攻撃チームの選手が守備側のエンドゾーンにボールを所持した状態で侵入したらタッチダウン(6点追加)。

攻撃側は守備の陣地にボールを持って切り込むことを目的とし、守備側は攻撃側に侵入されないよう陣地を守ることが目的となります。「ボールを持った選手が守備側の選手にタックルされて膝をつく・進めなくなる」「ボールを持った選手がフィールド外に出る」「パスが失敗する」「得点する」などの行為で1プレーが終了します。

 

宮川選手のタックルで問題になったアメフトってどんな競技?②

1プレーでボールが進んだ距離から、次回のプレーは開始されます。攻撃側はこれを4回繰り返す間に、合計10ヤード進まなくてはなりません。進めなかったら攻守交替です。合計10ヤード以上進んだ時点で、攻撃側には再度4回の攻撃権が与えられます。

攻撃権を獲得したら、また4回の攻撃の間に10ヤード以上進む……という行為を繰り返すことで、守備側陣地のエンドゾーンに近づいていきます。守備は攻撃側に10ヤード以上進ませないため、ボールを持つ選手を止めたり、パスを遮ったり。そのほか細かいルールやタッチダウン以外の得点法もありますが、長くなるので割愛しますね。

 

宮川選手のポジションDLってなに?

DL(ディフェンシブライン)は守備側のポジション。攻撃チームとにらみ合う形でがっぷりよつ、守備チームの最前列に位置する選手たちのことです。攻撃側にもOL(オフェンシブライン)という、陣形の最前列に並ぶポジションの選手たちがいて、プレー開始と同時に両者は激しく組み合います。

ボール保持選手を守ろうとするOLの壁を破るため、DLは守備チームの中でも特に体格がいい、力の強い選手が担当するのが一般的。宮川選手はDLのうちのDE(ディフェンシブエンド)と呼ばれるポジションで、優秀なパスラッシャー(パスを投げようとするQBを阻止するために突進する選手)だったそうです。

 

宮川選手がタックルしたQBってどんなポジション?

QBは攻撃側のポジションで、アメフトでは一番の花形ポジション。プレーが始まったと同時にボールを受け取り、ランプレーならRB(ランニングバック/走る専門の選手)にボールを手渡し、パスプレーならマークの空いているWR(ワイドレシーバー/パスを受ける専門の選手)にパスを出します。

QBの手にボールが渡ることによって攻撃が開始されるため「攻撃の起点」、あるいはQBがRBやWRに攻撃命令を出すことから「攻撃の司令塔」とも呼ばれます。監督やコーチが、ボールを持つ選手ではなくQBにこだわったのはこのためです。エースQBが怪我で出場停止ということにでもなれば、そのチームの攻撃精度はガタ落ちしてしまいます。

 

宮川選手の今後について①

被害にあった関学QBの父は22日、宮川選手の行為に対し被害届を提出したことを発表しました。ただ、26日には宮川選手の減刑処分を求める嘆願書を公開、現在2万人分の署名を募っています。被害者側の強い申入れがあることから、傷害罪が成立したとしても減刑の可能性はじゅうぶんにありそうです。

また、負傷していた関学QBは27日に無事試合復帰し、宮川選手に「またアメフトに戻ってほしい。今度は正々堂々と勝負したい」とエールを送りました。しかし「もう自分にはアメフトをする権利がない」としぼり出すように語った宮川選手の胸中も察してあまりあるものです。

 

宮川選手の今後について②

先日「アメリカンフットボール」が検索サイトの急上昇ワードに上がっていました。日本におけるアメフトはまだまだマイナースポーツ。それでも、選手の多くはアメフトを心から愛し、真摯にプレーしています。こんな形でアメフトに注目が集まったことに、無念さを感じずにはいられません。

そして、多くの選手たち同様アメフトを愛していたであろう20歳の青年が、二度とアメフトに関わらないと悲愴な決意をしたことにも、やりきれなさを感じます。宮川選手が今後アメフトに復帰するにせよ、しないにせよ、しっかりと己の贖罪を果たし立ち直ってくれることを願ってやみません。