上申書殺人事件の概要は?死刑執行を延長するための告発だった? 社会

上申書殺人事件の概要は?死刑執行を延長するための告発だった?

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茨城県で無免許で不動産取引を行っていた

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三上静雄は無免許で不動産取引を行って多額の利益を出す、いわゆる「不動産ブローカー」です。

また競売に掛けられる物件に自分の息のかかった人を住まわせて競売を妨害し立ち退き料を要求するという「占有屋」として顔も持っていたとされます。

その他、ヤミ金融などにも手を出しており裏稼業の世界にどっぷりとつかった人物であった様です。このために暴力団員に狙われる事もありましたが、自らも暴力団員をボディーガードとして雇い対抗していたそうです。

三上は顧客の相談に乗るなど周囲からの評価は高かった

三上はこうした裏稼業に勤しむ一方で、顧客からの相談に親身になって乗ってくれる人物として、周囲の人間から信頼されていたところがあります。

失業した人物に仕事を世話したり、借金で首が回らない人物の所有する不動産物件を高値で処分し、借金問題を解決してあげる事もあったそうです。

三上の周りでは莫大な財産を所有する資産家などが次々死んでいった

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三上静雄の周りでは莫大な財産を持つ資産家が次々と死んでいきます。三上静雄はこうした資産家を殺害する事で、その資産をかすめとる事で多額の利益を得ていました。

こうした儲け話の種をもたらすのは、外でもない三上静雄を信用しきっている周囲の人間たちでした。三上静雄は周囲からの信頼を得る事が、自分に利益をもたらす事を十分に理解し、全て計算で行なっていたのでしょう。

三上が狙うのは家族や親戚のいない孤独な老人だった

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三上静雄が狙うターゲットの資産家は、家族や親戚などの身寄りのいない社会から孤立した様な孤独な老人たちでした。

三上静雄は困っている人を救う人格者を演じて築いたネットワークを通じて、こうした孤独な資産家の情報が入ってくるのを、巣を張った蜘蛛の様にして待っていたのでしょう。

人の死を持って財産を得る事から「死の錬金術師」の異名で呼ばれる

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こうした三上静雄の身寄りのない資産家を巧妙に消し去り、その資産を奪い取る方法が明らかになった事で、三上静雄は「死の錬金術師」の異名で呼ばれるようになりました。

三上が逮捕される前日、上申書について「事実無根」と答えた

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三上静雄は、後藤良太の提出した上申書によって疑いの目が向けられると、三上静雄の元には大勢のメディアからの取材が押しかけました。

三上静雄は一貫して「自分は関係ない」「事実無根である」といった主張を繰り返しています。逮捕される前日にも三上静雄は取材を受けており、その時にも「事実無根」と回答しています。

三上の家族は自宅にマスコミが押しかけノイローゼ気味になった

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また、三上静雄は取材に対して「毎日マスコミが押しかけて困っている、おれも具合悪くなるし、家族もノイローゼになってしまう」とクレームをつけています。

さらに「俺は何も悪いことはしていない、裁判でも逃げも隠れもしない」と平然とした様子で言い放っています。

三上は病的な虚言癖があった

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三上静雄には病的なほどの虚言癖がありました。なんの動揺もなく平然と嘘をつくため、完璧に周囲の人を騙す事ができたとされます。

良心の呵責がない典型的なサイコパスの特徴を呈していた

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三上静雄は、典型的なサイコパスの特徴を持っています。人を傷つけることになんの抵抗も抱いておらず、自分の利益になると考えれば、女子供も見境なく攻撃対象としていたようです。

また病的なほどの虚言癖や動物への虐待行為、ターゲットとなった被害者老人への拷問を愉悦の表情を浮かべながら行なっていたとの証言も後藤良次から出ており、これらもサイコパスの典型的特徴の1つです。

また、自ら犯した罪に対して絶対に罪悪感を抱く事ができないのもサイコパスの特徴だと言えます。三上静雄は裁判でも平然と無罪を主張し続けており、法廷で嘘をつく事にも全くためらいがないようです。

上申書殺人事件のその後

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ここからは「上申書殺人事件」のその後の裁判などの顛末についても見ていきます。

3つの殺人事件のうち「日立市ウォッカ事件」が保険金殺人として刑事裁判となる

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後藤良次が上申書を提出して告発した3件の殺人事件のうち最後に告発した「日立市ウォッカ事件」だけが保険金殺人として立件され刑事裁判となっています。

これも、事件に関わった被害者の家族が事件に関わったことを認めたため、かろうじて立件できたとされ、もしも被害者家族が否認し続けていれば、この事件の立件も難しかったのではないか?と言われています。

後藤はカーテン販売会社社長殺人で起訴され懲役20年

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後藤良次は「日立市ウォッカ事件」でのカーテン販売会社社長殺人の容疑で起訴され、裁判では殺人現場に立ち会ったとして懲役20年の判決が下されています。

三上はカーテン販売会社社長殺人で無期懲役

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三上静雄はこの「日立市ウォッカ事件」でのカーテン販売会社社長殺人事件の裁判で無期懲役を言い渡されています。

三上は初公判で涙を流し大声で不適切な発言をしていた

三上静雄は裁判の初公判時涙を流しながら「私はかわいそうな人は見ていられないんです」「私は困った人間をかわいそうだと思う人間」などと大声で叫び、裁判官に止められています。

また、被害者男性を虐待したことを追求されると「暴力は私、好きじゃないんですぅ!」と叫び、ウォッカを無理やり飲ませて殺害した事も「96度のウオツカを飲ませたり、絶対にないです」と笑みを浮かべながら否定。

被害者に水をかけて虐待した事に対しては「〇〇さん(被害男性)が下痢をしてみんなが笑ったから、私はかわいそうに思って水でお尻を洗ってあげただけ」などと供述しています。

カーテン販売会社社長殺害を依頼した妻と娘は懲役13年

「日立市ウオッカ事件」は被害者の男性の家族も三上静雄らに殺害を依頼したとして、共犯として逮捕されています。

被害者のカーテン販売会社社長の殺害を依頼した被害者の妻と娘は、裁判で懲役13年の判決が確定しています。

娘婿は懲役15年が言い渡された

また、被害者の殺害の依頼を主導したとして、娘婿は懲役15年の判決が下されています。

保険金振込口座を不正開設した詐欺罪で被害者家族2人が懲役1年執行猶予3年

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また、直接犯罪に関わっていない被害者家族2名にも、死亡保険金の振り込み先の口座を不正に開設したとして詐欺罪が適用され、懲役1年執行猶予3年の判決が下っています。

そのほか、この家族らと三上静雄を仲介した三上静雄の商売仲間という経営者の男性が、不審な交通事故に遭って死亡しています。捜査を恐れての自殺とも、暴力団員に殺害されたとも噂されています。

後藤は三上の無期懲役の判決に不満を抱いている

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後藤良次は、自身の上申書の提出によって三上静雄が逮捕された事に関しては狙い通りでしたが、その判決が無期懲役だった事に大きな不満を抱いているといいます。

同じく凶悪な犯罪を犯したにも関わらず、自分は死刑判決を受け、それを主導した三上静雄が無期懲役である事に納得がいかないようです。

また、被害者男性の家族らが懲役13年〜15年の懲役刑である事に対しても、同じく不満を口にしています。

上申書殺人事件に対する世間の反応

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この「上申書殺人事件」は、死刑判決を受けている殺人犯が過去に犯した殺人を、その主導者を追い詰めるために告白するというセンセーショナルな展開から世間からの大きな注目を集めた事件です。

この一連の事件に対する世間の反応としては「こんな事が平然とできる凶悪な人間がこの世に存在する事が恐ろしすぎる」という意見がその大多数を占めています。

一方で、この事件を自身の身の危険も顧みずに丹念に取材し、野放しの犯罪者を逮捕まで追い込んだ宮本太一記者を「当代屈指のジャーナリスト」と称して大絶賛する声も多数上がっています。

上申書殺人事件は書籍化・映画化もされている

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「上申書殺人事件」はそのあまりにも衝撃的な内容から、書籍化や映画化もされています。

ここでは「上申書殺人事件」を世に知らしめる事になった書籍や、その事件を一般にも広く知らしめるきっかけとなった映画についても紹介します。

「凶悪 -ある死刑囚の告発-」

後藤良次からの手紙と取材依頼を受け、丹念な取材を行なった宮本太一記者が中心となり、「新潮45」の編集部は「凶悪-ある死刑囚の告発-」のタイトルでノンフィクション小説を出版しています。

宮本太一記者が、後藤良次との度重なる面会取材と受け取った手紙や資料を元にして、自らの足とコネクションを使って丹念に丹念に繰り返した取材を元に編集された、事件の真相の全てが語られている作品です。

その克明な描写には、まるで本当にその現場を見てきたかのようとの評価も出るほどに臨場感に迫ったものがあります。「上申書殺人事件」について知るためにこれ以上に適した書籍は存在しません。

映画「凶悪」

上記の「凶悪-ある死刑囚の告発-」を原作にして、大幅にエンターテイメント性が脚色された映画作品です。脚色されているとはいえ、事件の真相に忠実に描かれた作品です。

三上静雄をモデルとして「先生」役にリリーフランキーさん。後藤良太をモデルとした須藤純次役にピエール瀧さん、宮本記者をモデルとした藤井修一を山田孝之さんが演じています。

リリーフランキーさんやピエール瀧さんの怪演は背筋が凍るほど恐ろしく不気味、事件にのめりこむあまり次第に自分も狂気に染まっていく山田孝之さんの熱演が加わり、嫌悪を感じながらも引き込まれていく名作です。

上申書殺人事件は「奇跡体験!アンビリバボー」でも紹介された

「上申書殺人事件」は「奇跡体験!アンビリバボー」でも取り上げられ、大きな話題となっています。再現VTRを交えて事件のあらましが紹介されており、非常にわかりやすい内容となっています。

YouTube動画などはアップされていませんが、Dailymotionなどの動画サイトで現在も視聴する事が可能のようです。

上申書殺人事件同様、衝撃的な内容から映画化された事件

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ここでは、上申書殺人事件と同様に、その衝撃的でセンセーショナルな内容から映画化がされた事件を紹介します。

埼玉愛犬家連続殺人事件がベースになった「冷たい熱帯魚」

園子温監督がメガホンを取り、そのグロテスクな描写で話題となった映画「冷たい熱帯魚」は1993年に発生した「埼玉愛犬家連続殺人事件」がモデルとなった作品です。

「上申書殺人事件」の三上静雄と同じように「埼玉愛犬家連続殺人事件」の犯人も典型的なサイコパスとして大量の人間を殺害しています。

この映画で描かれる事件はそれをそのままなぞっている訳ではありませんが、サイコパスの犯罪者が凶悪な犯罪を行う様子は「上申書殺人事件」での三上静雄と重なる部分があります。

女子高生コンクリート詰め事件がモチーフの「コンクリート」

国内で最もよく知られている少年犯罪の1つ「女子高生コンクリート詰め事件」も映画のモデルとなっています。2004年に公開された「コンクリート」がそれです。

この映画の公開にあたっては、その事件の残虐性や加害者の元少年たちが出所後に再犯を繰り返しているという事実から、多数の批判的意見が殺到しています。

アナタハンの女王事件がモデルの「東京島」

終戦後、元日本統治領だった孤島で1人の女性巡って取り残された男たちが殺し合いを繰り広げた事件「アナタハンの女王事件」は2010年公開の映画「東京島」のモデルとなっています。

「アナタハンの女王事件」は戦争末期から数年にかけて発生した事件ですが「東京島」は現代を舞台に描かれています。

クルーザーでの世界一周旅行中に遭難し無人島に流れ着いた主婦を巡り、過酷なリゾートバイトから逃げ出す途中に遭難して島に漂着した若者たちと密航途中の中国人などが、過酷なサバイバルを展開します。

前橋スナック乱射事件も殺人を告白する上申書が提出され注目を集めた事件

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今回紹介した「上申書殺人事件」の他にも、死刑囚から過去の殺人を告白する上申書が提出され話題となった事件があります。その事件「前橋スナック乱射事件」を紹介します。

前橋スナック乱射事件とは?

2003年に発生した「前橋スナック乱射事件」は指定暴力団組長の矢野治の指示を受け暴力団員2名が敵対する暴力団組長を狙って前橋市のスナックを襲撃、店内で銃を乱射し一般人3人を含む4人を殺害した事件です。

この事件を主導した矢野治は銃刀法違反や殺人の罪で起訴され逮捕されます。裁判では「実行犯と同等以上の責任がある」とされ死刑の判決が確定しています。

前橋スナック乱射事件で死刑判決を受けた首謀者が上申書で殺人を告白

矢野治は死刑の判決が確定するとほどなくして、警視庁に上申書や週刊誌編集部宛に手紙を送付し、過去に2件の殺人事件に自分が関わり自らの手で人を殺害した事を告白し注目を集めます。

週刊誌がこの事実を報じたため警視庁が捜査に乗り出し、この告発通りに被害者の遺体が発見された事で矢野治は再逮捕されたのでした。

公判で突然、上申書は嘘だったと無罪を主張

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しかし、裁判が始まるやいなや矢野治は上申書の内容は全くのデタラメであり、自分はこの件に関しては無罪との主張を展開し始めます。

さらにその後、告白した2件の殺人事件に加えて、さらに3件目の殺人事件にも関わった事を告白し始めたのです。

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