ディアトロフ峠事件とは?60年ぶりに再捜査!未解決事件の真相は?

1959年に旧ソ連で発生したディアトロフ峠事件は20世紀最大のミステリーの1つです。今回はディアトロフ峠事件の真相や真実についてまとめます。近年発表された大気物理学を用いた新説や、放射能の謎、マンシ族と事件の関係、事件をテーマにした映画など詳しくまとめます。

ディアトロフ峠事件とは?事件の概要

ディアトロフ峠事件とは、1959年2月2日、ソビエト連邦領(当時)スヴェルドロフスク州の北500キロ程に位置するウラル山脈北部の雪原地点で発生した死亡事件です。

死亡したのはウラル山脈の北側でスキーを使ったスノートレッキングを行なっていた男女9人で、そのあまりにも不可解な状況から、事件の真相はまだ解明されておらず、様々な説が囁かれています。

今回はこの、ディアトロフ峠事件について詳しく紹介します。まずはディアトロフ峠事件の概要から見ていきましょう。

1959年2月2日、スノートレッキングで9人が謎の死を遂げた事件

ディアトロフ峠事件は、1959年2月2日の夜間にソビエト連邦領内、ウラル山脈北部で発生したとされる事件です。

ウラル科学技術学校の学生と卒業生を中心とする男女9人のチームは、ウラル山脈北部でのスキーを利用したスノートレッキングを計画していました。事件発生の日には、現場でキャンプをしていたとされます。

予定の帰還日を1週間以上が経過しても戻らない彼らを心配した家族からの要請を受け、軍や警察が捜索を行なったところ、残された無人のテントを発見し、その周辺から9人も遺体となって発見されました。

事件後、リーダーの名前からディアトロフと呼ばれるようになった

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事件が発生した地点は、ホラート・シャフイル山の東側の斜面でした。この峠は後に、遺体で見つかった9人のリーダーであるイーゴリ・ディアトロフの名前にちなみディアトロフ峠と呼ばれるようになります。

いまだに全容は明かされず真相は不明のまま

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9人それぞれの死因は、6人が軽装のままテントを飛び出した事による低体温症、残りの3人が何らか強い衝撃を受けたことにより致命的な怪我を負ったというものでした。

さらに、発見されたテントは内側から切り裂かれており、荷物も置いたままで、まるで何か恐ろしいものから逃げ出したような痕跡が残されていました。

当事者の9人全員が死亡し状況を知る生還者かがいないため、現場で一体何が起こったのかさえほとんど何も判明しておらず、彼らが何故不振な死を遂げたのかの真相は2019年現在も未だ解明に至っていません。

2019年2月1日、ロシア最高検察庁は自然現象が原因との見解を語った

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そんな中、ソ連邦政府から捜査を引き継いでいたロシア最高検察庁が、2019年2月1日にディアトロフ峠事件に関する新たな公式見解を示して注目を集めました。

ロシア最高検察庁が示した見解は「雪崩や暴風など自然現象が原因」という当たり障りないと感じられる内容でした。しかし、ディアトロフ峠事件には、この発表ではとても納得できない不可解な点が多数存在するのです。

次の項からは、ディアトロフ峠事件について、数々の不可解な点などの詳細に触れながら、これまでに出ている様々な仮説について詳しく紹介していきます。

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ディアトロフ峠事件で立てられた数々の仮説と60年目の新説

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ディアトロフ峠事件の真相として、これまでに様々な方面から数々の仮説が示されています。その中から特に代表的で、ある程度根拠がはっきりしていると思われる仮説を順番に紹介していきます。

大気物理学のヘアピン渦(カルマン渦)現象説

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事件から約60年が経過した2018年に、ディアトロフ峠事件の真相として、かなり信憑性が高いと感じられるある仮説が示されて注目を集めました。

その新説とは、大気物理学の研究によって明らかになったある自然現象「ヘアピン渦(カルマン渦)」がディアトロフ峠事件を引き起こす原因となってのではないか?とされる説です。

事件から60年後の新説として脚光を浴びた

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この新説は、アメリカのドキュメンタリー映画監督ドニー・アイカー氏が2018年8月25日に発表した書籍「死に山」によって注目され、事件から60年後に明らかになった新説として脚光を浴びました。

アイカー氏はディアトロフ峠事件にのめりこみ、徹底した取材研究を行い、アメリカの気象学の専門家などの協力も得てその真実にかなり近近づいたとして、この「死に山」を発表しています。

この書籍では、アメリカ海洋大気庁の気象専門家の見立てなどを根拠にして、ディアトロフ峠事件の原因となったのは「ヘアピン渦(カルマン渦)」と呼ばれる気象現象が原因になったと主張しています。

ヘアピン渦現象の構造は?

ヘアピン渦とは、強風が半球状の障害物にぶつかった時に発生するとされる渦で、形状がヘアピンに似ている事からこの名前で呼ばれます。1990年代に解明された現象ですが、実際に観測された例はわずかだそうです。

ヘアピン渦はチューブのように大気を巻き込んで渦を巻き、風が強くなると竜巻を発生させます。原因となる障害物の周辺が平坦な地形であるほど、渦のパワーは強大になり実際の風速の3倍に達する事もあるそうです。

竜巻が生んだ恐ろしい地響きと超低周波音が悲劇を呼んだ?

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イーゴリ・ディアトロフのトレッキングチームは、ちょうどヘアピン渦の発生させる竜巻が通過する地点にテントを張ってしまったため、テントの上を数分ごとに猛烈な竜巻が通過したのではないかたと推測されています。

この時、この地点の風速は記録によると秒速15メートルであり、ディアトロフ渦から発生した竜巻の風速はその3倍の秒速45メートルにまで達していたと推測されています。

この竜巻は、飛行機が離着陸する時のような地響きと轟音、超低周波音を発生させ、この尋常ならざる状況に一行は精神を錯乱させテントから飛び出してしまい悲劇につながったとの説が主張されています。

狼や熊などの獣害説

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ディアトロフ峠事件で真っ先に疑われた説は、イーゴリ・ディアトロフのチームが野営中に周辺に生息する狼や灰色熊の襲撃を受け、テントが爪で切り裂かれた後、メンバーが散りじりに逃げ出して死亡したという説です。

しかし、この説はテントが内側から切り裂かれていた事や、テント周辺にトレッキングチームのメンバー以外の足跡が残されていなかった事などから否定されています。

雪崩説

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ディアトロフ峠事件は、単に雪崩などの自然現象が死亡事故の原因となったのではないか?という極めて常識的な説も有力です。

雪でテントが潰され、テントを切り裂いて逃げ出したか

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雪崩説は、テントの上の斜面で雪崩が発生してテントが潰されて入口からの脱出が不能となり、メンバーがやむなくテントを内側から切り裂いて脱出し、死亡事故につながったのではないか?という仮説です。

最終的に死亡原因は「抗いがたい自然の力」とされていた

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事件後にソビエト連邦の捜査当局からの公式見解は「抗いがたい自然の力」と発表されてます。この事もこの雪崩説を裏付けています。

しかし、この「抗いがたい自然の力」という公式発表では到底辻褄の合わないような状況が現場や遺体に多くあったため、政府が何かを隠蔽しているのではないか?との噂も囁かれる事にもつながっています。

雪崩の起きにくい地域であったことや残っていた足跡から否定的な意見もある

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雪崩説も可能性としたはあり得るとされていますが、テントが張られていた一帯の傾斜は15度程度しかなく、一般的に雪崩が発生しやすいと言われる傾斜度ではありませんでした。

また、テントから続く足跡が発見されている事などからも、雪崩の発生が原因だという説には否定的な意見が多く出ています。

マンシ族説

事件発覚の直後には、この付近の原住民であるマンシ族が、土地に侵入してきた彼らを襲撃して金品を奪ったのではないか?という説も唱えられました。

また、犠牲者達が残した日記には、事件発生の前にマンシ族との間に争いが発生したという内容が書かれており、これが証拠となって捜査当初はマンシ族犯人説が有力となりました。

しかし、マンシ族は温和な性格の部族だとされており、外から何者かの襲撃を受けたという説は、テントが内側から刃物で切り裂かれていた事や周辺にメンバー以外の足跡が無かった事と矛盾するため否定されています。

メンバーたちのいざこざ説

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メンバーの中の女性ジーナを巡って、複数の男性メンバーが恋愛感情を抱いており、それが原因で激しい喧嘩が起こり、テント内から飛び出し死亡する結果につながってのではないかという説もあります。

ジーナは男性メンバーのドロシェンコの元交際相手でしたが、事件当時はディアトロフに口説かれ、ジーナ自身もまんざらではない様子だったという事から、この説が囁かれたようです。

しかし、ソ連は共産主義国家であり、恋愛がらみのトラブルを起こすというのはタブーだという雰囲気がありました。したがって恋愛問題が死亡事故につながったという可能性は極めて低いと考えられます。

旧ソ連のよる核実験説

ディアトロフ峠事件で発見された何人かの遺体の衣服からは、自然界では考えられない量の放射性物質が検出されています。この事から、旧ソ連による核実験が事故につながったのではないか?という説が存在します。

実は、当時ウラル山脈の裏側に長距離弾道ミサイルの発射基地があったという事実や、事件発生時に、この付近の上空で奇妙なオレンジ色の光球の目撃証言が多数出ている事などがこの説を裏付けています。

このミサイル基地から核ミサイルが発射され、上空で誤爆し視力を失われたメンバーがパニックになりテントから飛び出して死亡したため、遺体から放射性物質が検出されたのではないか?というわけです。

UFO襲撃説

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上でも触れましたが、事件当日にこの付近上空で複数の周辺住人からオレンジ色の光球の目撃証言が出ている事から、ディアトロフのメンバー達はUFOの襲撃を受けたのではないか?という説もあります。

いくつかの遺体から、眼球や舌が無くなっていたという事実も、宇宙人が人間の研究をするために持ち去ったのではないか?という噂につながっています。

ウラル山脈の付近にはUFOの宇宙基地もある

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近年になって、ウラル山脈の付近にはUFOの宇宙基地が存在すると一部のUFOマニアに強く信じられています。1980年代にはこの付近でUFOが空軍に撃墜されたとの噂や小型の宇宙人が目撃されたという噂も出ています。

現在、ウラル山脈一帯はロシアにおけるUFOのメッカとも言える場所であり、UFOマニア達の中には、ディアトロフ峠事件もまたUFOが原因であるという説を強く信じる人も多数存在するようです。

イェティなどの未確認生物説

この付近一帯にすむマンシ族には古くから「Menkvi(メンク)」と呼ばれる獣人のような未確認生物の存在が伝えられているそうです。こうした獣人の目撃談は世界に多数あり、イエティの名で知られています。

事件当時5歳だったというマンシ族のアルビナ・アヌモヴァという男性は、幼い頃に事件現場付近で大量の鹿の死骸を発見し、その中には舌を引き抜かれていた死骸もあったと証言しています。

ディアトロフ峠事件の被害者の1人が舌を完全に喪失していたという事実と、これを繋げて考える説もあるようです。被害者の何人かが木に登った痕跡があり、獣人に追われて木の上に逃げたのでは?との説も出ています。

落雷・プラズマ説

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ディアトロフ峠事件を現場で捜査した捜査官イワノフは、事件現場周辺の木の中に焼け焦げた痕跡があった事を報告しています。これを証拠として、現場で落雷やプラズマなどが発生した可能性が指摘されています。

これが9人の死にどう言った影響を及ぼしたのかまでは示されていませんが、現場で何らかの超常現象が起こり、その中に落雷やプラズマなどの現象が含まれていたのでは?との説が存在します。

ミサイルの残骸が落下説

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核実験説とも類似しますが、被害者らの上空でミサイルが爆発し、その破片が降り注いだ事でパニックが発生、被害者達はテントから飛び出して事故につながったという説です。

ミサイルが爆発した事で、雪崩が発生しそれでテントが押しつぶされて内側から刃物で切り開いて脱出した。その後さらに爆発が起こり、何人かはその爆発の衝撃波が致命傷となって死亡した。

致命傷を受けなかったメンバーも慌てて逃げ出したため低体温症で死亡してしまったという説です。これならば、上空で目撃された光球や周辺の木々の中に焼け焦げた痕跡があった事などにも説明がつきます。

ゾロタリョフ工作員説

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9人のメンバーの中にゾロタリョフという当時37歳の男が含まれていました。この男は何故か仮名を名乗っており、その経歴も真っ当なエリート学生である他のメンバーと比べて明らかに異質な存在でした。

この不可解な男はカメラを所持していましたが、他のメンバーには内緒で所持していたようです。ネガは破損しており何を撮影していたのかは不明だという事でした。

こうした不可解な経歴や行動から、実はこの男は西側諸国の送り込んだ工作員であり、他のメンバーはこの男の何らかのミスに巻き込まれて、とばっちりで殺害されたのではないか?との説が存在します。

強制収容所から逃走したシベリアの囚人説

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この当時のシベリアには、第二次大戦で捕虜になった兵士達や国内の政治犯など、膨大な人数が各地の強制収容所に収容されていました。

強制収容所から逃走した囚人達が、たまたまこの付近に潜伏しており、犠牲者達を追っ手と勘違いして殺害したのではないか?という説も存在します。

隕石の落下説

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隕石が落下したのではないか?という説もあるようですが、隕石の落下と事件現場の状況とが繋がる要素がほとんど見つからないため、この説の信ぴょう性は低そうです。

ユーディンの犯行だが嘘をついている説

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ディアトロフ峠事件に巻き込まれたトレッキングのチームは、出発した当初は9人ではなく10人の編成でした。

メンバーの1人エフィモヴィチ・ユージンという男性は体調不良で1月28日にチームを離れ帰還しているのです。このユーディンからの証言で事件直前のチームの詳細な状況などが明らかになりました。

しかし、真実はこのユーディンが何らかの方法で他のメンバー全員を殺害しており、その後の証言は全てユーディンの嘘であるという説も存在します。

検察は75もの説を調査済みだという

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ここで紹介した以外にも、ディアトロフ峠事件には膨大な数の仮説が立てられました。事件の捜査をソビエト連邦の捜査機関から引き継いだロシアの検察当局は、これまでに75種にも及ぶ仮説を検証調査しているそうです。

ロシアの検察当局の綿密な調査によれば、既に殺人の線は排除されており、UFO説や未確認生物説などの超常現象説も全て排除されているという事です。最終的に当局は「自然現象が原因」との見解を示しています。

ディアトロフ峠事件にまつわる議論・真相の謎

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ロシア当局は、ディアトロフ峠事件の真相を「自然現象が原因」と結論づけてしまいましたが、事件に残された膨大な数の疑問に対する解答は一切示されていません。

そのため、ロシア政府は何らかの事実を見落としている、あるいは故意に隠蔽しているという説が存在するのです。ここではそんなディアトロフ峠事件に残された膨大な数の謎をひとつずつ見ていきます。

NEXT 捜査当局が事実を見落としているという指摘や故意に無視したとの見方もある