ソーカル事件とは?日本に与えた影響やその後の類似事件を紹介!

ソーカル事件をご存知でしょうか。なかなか聞き慣れない事件で知らない人は多いソーカル事件ですが、アランソーカルが巻き起こした事件であり、数々の学者から批判を受け大炎上を巻き起こしたソーカル事件について全貌をご紹介していきます。

ソーカル事件とは?事件の概要

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ソーカル事件とは、アランソーカルが仕掛けた事件として知る人ぞ知るソーカル事件は世界中で雑誌社や多くの学者を巻き込んだ事件の一つです。

そんなソーカル事件について詳しく事件の概要をご紹介していきます。アランソーカルはどういった経緯でソーカル事件を起こし、目的は何だったのでしょうか。

1995年にアランソーカルが仕掛けた事件

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ソーカル事件は元ニューヨーク大学の物理学の教授を勤めていた有名な権威ある、アランソーカルが1995年に仕掛けた事件です。

アランソーカルはある問題の論文を書き、その論文こそがソーカル事件の始まりとなります。

でたらめな論文を通してラカンなどのポストモダン思想家を批判した

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大学の教授を勤めるアランソーカルは、でたらめな論文を書き、20世紀に活動していたポストモダンの思想家であるジャック・ラカンなどを批判していたのです。

アランソーカルが書いた論文はポストモダンの社会学者達や哲学者達の言葉を用いて内容に賛同し、数学、理論物理学をポストモダンとヒモ付けした内容でした。

ですが、この論文はでたらめな内容をただ羅列させただけの中身が全く無い論文でした。また論文は、でたらめな内容にも関わらず、学術誌に掲載されることになります。

1996年に学術誌の編集者にはイグノーベル賞が与えられた

アランソーカルが書いた問題の論文は、「ソーシャル・テキスト」という学術誌に掲載され1996年に学術誌の編集者にはイグノーベル賞が与えられました。

1997年に発表した著書でも一部の社会科学者などを厳しく批判している

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アランソーカルが数理物理学者であるジャン・ブリクモンと協同で1997年に発表した著書「「知」の欺瞞」でも一部の社会科学者などを批判しています。

ポストモダン思想家の社会科学者だけでなく、哲学者が批判の対象となりました。ジャック・ラカンだけでなく、リュス・イリガライやジル・ドゥルーズや他多数の人達が批判の的となります。

彼らの自然科学用語の使用方法が、アランソーカルが書いたでたらめな論文と同じで全く中身が無いと批判したのです。

事件によりポストモダン思想の終焉と話題に

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ソーカル事件によって多くのポストモダン思想家が批判されたことで、ポストモダン思想の終焉と世間で話題になりました。

ソーカル事件がきっかけで、ポストモダン思想に大きな爪跡が残されてしまったのです。ポストモダン思想は、特に新しい内容を生み出すわけでもないため批判されてしまう対象になってしまいました。

こういったことから、ソーカル事件によってポストモダン思想の終焉なのではと話題となったのです。

「嘘」とは哲学の世界で必ずしも悪いことではない?

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一般的に、嘘というのは使い方によっては、人に嫌われたり人間関係においてトラブルを招きやすいものです。ですが、哲学の世界においての「嘘」の考えは一般的に少し違います。

極端の話ですが、「嘘」といのは哲学の世界では必ずしも悪いことではない。面白ければ良いという考えのある世界なのです。

哲学の世界ではその「嘘」から新しい思想やヒントを得て活かすこという考えがあり、その「嘘」に価値があると捉えるようです。

事件は哲学界にそれほど影響を与えないかったという意見も

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ソーカル事件は多くのポストモダン思想家を批判しましたが、哲学界にそれほど影響を与えなかったのではという意見も中にはあります。

アランソーカルが学問自体を批判しているように感じた人は多かったようです。ですが、自然科学研究者の大半はアランソーカルと同様の考えだったのではと推測されています。

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ソーカル事件の内容は?事件の流れ

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では、なぜこういった数々の学者を巻き込んだソーカル事件をアランソーカルは起こしたのでしょうか。ソーカル事件の流れについてここからご紹介していきます。

1994年、アランソーカルが学術誌に論文を投稿

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1994年に、元ニューヨーク大学の物理学の教授を勤めていたアランソーカルが学術誌である「ソーシャル・テキスト」に「境界を侵犯すること:量子重力の変換解釈学に向けて」という論文を投稿します。

この学術誌「ソーシャル・テキスト」の編集長を担当していたのはアランソーカルと同じニューヨーク大学の教員のアンドリュー・ロスという人物でした。

その論文は意図的に、すぐに見抜ける無意味ででたらめなものだった

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アランソーカルが書いた論文「境界を侵犯すること:量子重力の変換解釈学に向けて」は、アランソーカルが意図的に、他の人が読んですぐ見抜けるような中身の無い無意味なでたらめな内容でした。

論文に使用されていた数学、物理学用語はその分野の専門家でもない自然科学の教育を受けている人たちから見てもすぐ、でたらめな内容だとわかるいい加減な内容でした。

また、論文では数学者のヨハン・ラドンと放射性物質のラドンを混同して使うなど、専門家ならすぐ嘘だとわかるような擬似的な論文だったのです。

論文は受理され、1996年5月に「ソーシャル・テキスト」に掲載された

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このすぐ見抜けるでたらめな論文は、1996年5月に「ソーシャル・テキスト」に受理され掲載されるようになります。

ですが、この「ソーシャル・テキスト」に掲載された論文はアランソーカルが意図的にでたらめな論文を書きポストモダン思想家が論文を読んででたらめな内容か見抜けるかを試した内容のものでした。

掲載後すぐにアランソーカルは真相を暴露、大きな話題となる

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「ソーシャル・テキスト」にアランソーカルが書いた論文が掲載されたすぐ後に、アランソーカルは「ソーシャル・テキスト」ではない別の雑誌で論文はでたらめに書いたと真相を暴露します。

真相を暴露したことにより、大きな話題となりました。その影響で「ソーシャル・テキスト」の発行部数は通常800部ほどだったのが、注目を浴びニューヨークタイムズなどで有力紙と期待を集めます。

この現象をアランソーカル自身は後に、専門家を対象にしている学術誌が一般に多く知られ、出版界に旋風を巻き起こしたと語っています。

1996年「ソーシャル・テキスト」編集長がイグノーベル賞を受賞

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ニューヨークタイムズなどでも「ソーシャル・テキスト」は有力紙だと期待され社会的に影響を与えたことがきっかけで1996年に「ソーシャル・テキスト」は賞を受賞することになります。

「ソーシャル・テキスト」の編集長であるアンドリュー・ロスはソーカル事件を通してイグノーベル賞を受賞します。

イグノーベル賞とは、決して名誉のある賞ではなく裏ノーベル賞といわれる不名誉なノーベル賞のパロディ賞のようなものです。アンドリュー・ロスはアランソーカルが書いた論文を掲載したことを公開しています。

アランソーカルは1997年に発表した著作でポストモダニズムを痛烈に批判

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アランソーカルは話題となったでたらめな論文を「ソーシャル・テキスト」に掲載され、その真相を暴露した後、1997年に発表した著作である「「知」の欺瞞」でポストモダニズムを痛烈に批判します。

この著作である「「知」の欺瞞」は、アランソーカルとジャン・ブリクモン共同制作の書籍です。

研究者たちからは反発が起こり、アランソーカルの行動は大きな論争に

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こうしたアランソーカルの行動は大きな論争に発展していき、文芸批評家・法学者であるスタンレー・フィッシュをはじめ多くの研究者から反発が起きます。

1998年、事件後の改善も虚しく「ソーシャル・テキスト」が廃刊になる

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でたらめな論文を掲載したことによって、不名誉なイグノーベル賞まで受賞してしまった「ソーシャル・テキスト」は1998年に、ソーカル事件後の改善を図りますが虚しく廃刊してしまいます。

ソーカル事件後、「ソーシャル・テキスト」は論文の掲載に関して査読制度を取り入れ改善を行うのですがソーカル事件前は査読制度を取り入れておらず、このような虚しい結果を招いてしまいます。

アランソーカル側の落ち度

「ソーシャル・テキスト」が廃刊となり、数多くの研究者達の批判の対象となったアランソーカル側にも落ち度がありました。

そのアランソーカル側の落ち度とは一体なんだったのでしょうか。ここからはアランソーカル側の落ち度に関してご紹介していきます。

アランソーカルが取った行動はただの揚げ足取りだとバッシングされた

アランソーカルが取った行動は、ポストモダンの思想や批評はしておらず単にポストモダン哲学で使われる表現を必要以上に批判しているだけのため、揚げ足取りなだけだと厳しくバッシングされました。

実際のところ、その後のポストモダン哲学には影響がなかった

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実際のところ数多くの批判を受け、意図的に始めたソーカル事件後、批判の対象となったポストモダンは終焉を迎えたと話題にはなりましたがポストモダン哲学には影響がなかったのです。

ポストモダン哲学は現在でもポストモダンの思想の研究が何よりも重要と考えられているため、アランソーカルの批判の対象となっても影響がありませんでした。

近年ではアランソーカルの行為の悪質さが指摘されている

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近年ではアランソーカルの行為の悪質さが指摘されており、大学の教授を勤めている人間が軽い気持ちででたらめな論文を書いただけでなく、学者達の研究に対する信念を裏切った悪質な行為と指摘されています。

このアランソーカルの悪質な行為は近年では確実に重大な問題と発展し論文の不正が原因で学界からの追放の対象ともなると厳しく考えられています。

個人的な恨みが原因という声も

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またアランソーカルの個人的な恨みが原因という声も上がっているようです。

廃刊になってしまった「ソーシャル・テキスト」の編集長であるアンドリュー・ロスとアランソーカルはニューヨーク大学の同僚です。

アランソーカルが個人的な恨みをアンドリュー・ロスにぶつけるためにソーカル事件を起こしたのではないかと言う声も少なくありません。

ソーカル事件の後に発表された「知の欺瞞」とその反応

アランソーカルはソーカル事件後に「「知」の欺瞞」を発表しました。批判を受けたアランソーカルですが、この「「知」の欺瞞」内容と学者達の反応はどのようなものだったのでしょうか。

著作を発表した目的とは?

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「「知」の欺瞞」を発表したアランソーカルとジャン・ブリクモンは、この書籍を発表した目的を次のように記しています。

われわれの目的は、まさしく、王様は裸だ(そして、女王様も)と指摘する事だ。しかしはっきりさせておきたい。われわれは、哲学、人文科学、あるいは社会科学一般を攻撃しようとしているのではない。それとは正反対で、われわれは、これらの分野がきわめて重要と感じており、明らかに事実無根のフィクションと分かるものについて、この分野に携わる人々(特に学生諸君)に警告を発したいのだ。

(引用:Wkipedia)

科学用語が乱用されていることを指摘、いかにでたらめか批判した

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「「知」の欺瞞」を通じてアランソーカルとジャン・ブリクモンは、科学用語を乱用されていることを指摘し、いかに科学がでたらめなものか何度も指摘をしています。

またポストモダン思想家の人々に対して簡単な言葉を難しい言葉に変換し比喩として表現していることにも批判を加えています。

デリダはアランソーカルらのやり方を皮肉を込めて非難している

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フランスの哲学者であるジャック・デリダはアランソーカルらのやり方に関して何度も指摘をしており、アランソーカルらはその指摘を問題視していなことに関しても非難をしました。

デリダは、仕事が単なる余計な手出しとして成り立つのは、悲惨なことだと皮肉をこめて非難しています。

ジャック・ブーヴレスはアランソーカルらを擁護した

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アランソーカルらを擁護した人物も存在します。擁護した人物は数々の著作を持つフランス哲学者のジャック・ブーヴレスという人物です。

デリダがアランソーカルらを非難したことを不誠実な指摘だとし、アランソーカルらをジャック・ブーヴレスは擁護したのです。

ソーカル事件が日本に与えた影響

ソーカル事件は日本の学者にも影響を与えました。ここからはソーカル事件で影響を受けた日本人に関してご紹介していきます。

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