宇都宮病院事件とは?精神病棟で起きた事件の背景と病院のその後 社会

宇都宮病院事件とは?精神病棟で起きた事件の背景と病院のその後

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暴行により死亡した可能性が高いが証拠はない

この3年間で死亡した220人に関しては、暴行によって死亡したという証拠はありませんが、数が異常だという事でやはり殺害されたのではないかと言われています。

しかしたとえそうだったとしても、宇都宮事件が暴かれた時に表に出てこなかった以上、それらに関する情報はすでに無いとされ、今後出てくる確率もほぼ無い事から真相は謎のままとなっています。

宇都宮病院事件に関する作品

jarmoluk / Pixabay

宇都宮病院事件は世間に大きな影響を与えました。事件に関する本や元となって出来た作品も制作されています。東大病院に関する本や、精神科の歴史の推移などを載せている本もあります。

本「東大病院の精神科の30年」

「東大病院の精神科の30年」は富田三樹生さんの著書で、正式な名前は「宇都宮病院事件・精神衛生法改正・処遇困難者専門病棟問題」となっています。

そのタイトル通りの東大病院精神科の歴史の推移を書いた本であり、その歴史に大きな影響を与える事になった宇都宮病院事件の事も詳しく書いています。

富田三樹生さんは自主管理・自主看護を掲げて精神医療改革運動を続けてきた人で、その年数は30年以上にもなります。

本「新ルポ・精神病棟」

「新ルポ・精神病棟」は当時朝日新聞社の記者で、精神医療科の内情を探っていた大熊一夫の著書です。大熊一夫さんは内情を探るためアルコール依存症のふりをして、精神病院の実態を探りました。

宇都宮病院の日常的な虐待や、ずさんな診察の内容なども細かく記録し世間に精神病院の内情を広めました。前半部分は宇都宮病院の実態をルポしたものとなっています。

後半部分は開放的で良心的な精神病院のルポで、そのような病院の動きや今後精神病院がどのように変化していくのか、という事を書いています。

宇都宮病院事件を元に作られた本・ドラマ「レベル7」

「レベル7」は宮部みゆきさんのサスペンス小説で、その小説を原作としたドラマ作品も制作されています。「レベル7」は宇都宮病院事件とホテル・ニュージャパン火災を元にして書いた小説とされています。

ホテル・ニュージャパン火災はホテルで火災があり、死傷者が多数出た事件で、経営者の安全対策が杜撰すぎる事が問題となりました。

あらすじは自分たちが何者なのかを調べる記憶喪失の男女2人と、失踪した女子高生を探すカウンセラーの行動が、やがて繋がっていき、事件に関係していくといったものになっています。

当時の様子がわかる?精神科病院について描いた映画

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宇都宮病院を元にした映画も制作されており、高い評価を得ています。日本の映画だけではなく、海外でも作製されている事から、宇都宮病院が世界的に影響を及ぼした事件であることが分かります。

あまり触れられていなかった精神医療について描かれた映画もあり、様々な人に衝撃を与える作品となっています。

「カッコーの巣の上で」

「カッコーの巣の上で」の原題は「One Flew Over the Cuckoo\’s Nest」でアメリカで製作・公開された映画です。日本では1976年に公開されています。

第48回アカデミー賞で腫瘍の5部門を独占した映画で、大きな話題となりました。「カッコーの巣の上で」は宇都宮病院事件をモデルにしているとされています。

あらすじは刑務所に入るのが嫌で精神に異常があるふりをして、病院に入院した主人公が、管理主義の婦長に対立しつつ病院生活を送っているもので、ETCを罰として使っている場面などが登場します。

「精神」

「精神」は想田和弘さんが監督を務めたドキュメンタリー映画で、様々な国際映画祭でドキュメンタリー賞を受賞しています。2010年7月に日本で公開されました。

精神科病院である「こらーる岡山」を舞台としており、精神病患者や精神科医、介護職員など精神医療に関わる様々な人の生活や想いを観察したもので、世界的にも話題となっています。

実際に色々な悩みを抱えている人たちが、モザイク無しで出演しており、精神医療に関する事を考えさせられる作品と言われています。

精神医療に関する事件とは?

精神医療に関係する事件は大きさの差はあれど、様々なものが起きています。精神科医が患者に対して強制的に治療を行った事が原因で起きた事件や、患者から不当な利益を得ていた病院もあります。

また身内に精神障害者がいて、その介護に疲れてしまい殺人を犯してしまったという事件もあります。精神医療に関する事件は、現在でも起きており解決の難しい問題となっています。

ロボトミー殺人事件

ロボトミー殺人事件とは、脳に穴を開けて大脳の一部を切り取るという、精神外科と呼ばれる手術が原因となって起きた殺人事件です。被害者は精神科医の妻と母親です。

ロボトミー殺人事件が起きたのは1979年ですが、その事件の前に犯人は一度逮捕されており、その際に精神鑑定され強制的にロボトミー手術が行われました。

その結果スポーツライターを職業としていた犯人は、退院しても後遺症に悩まされまともに仕事や生活が送れなくなり、ロボトミー手術の問題を世間に広めるとして、犯行に及びました。

加茂病院事件

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加茂病院事件は、2018年に兵庫県の精神科病院である加茂病院で起きた事件です。加茂病院事件では、入院患者に対してわいせつ行為を繰り返していた職員と、暴力を振るった職員がいて問題になりました。

わいせつな行為を繰り返していた職員は30年以上勤めていたベテランで、82歳の女性の胸を触ったり覗いたりという行為をしていました。

暴力を振るった看護師は、他の患者から食事を盗もうとした患者に馬乗りになって平手打ちを繰り返し、軽傷を負わせました。2人は解雇され、病院には指導という形で終わりました。

安田系3病院事件

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安田系3病院事件とは、1997年に同じグループの病院の安田病院・大阪円生病院・大和川病院が起こした事件で、患者を食い物にして、不当に利益を得たりなどの違法行為を繰り返していたというものです。

この事件は、診察を何か月もせず、決められた予定にしたがって投薬を続けたり、必要のない診療を勝手に行い治療費を高くしたり、無資格で仕事をしたりと宇都宮病院と重なる部分が多々あります。

また、患者に介護の仕事をやらせていたり日常的な虐待も行っていました。病院が閉鎖的な環境にあり、政治家との癒着があったため中々発覚しなかった事件となっています。

和歌山長女殺害事件

2015年に起きた和歌山長女殺害事件は、精神医療の大変さを考えさせられる事件で、重度の精神障害を持つ長女が父親によって殺害された事件です。

父親とその妻は重度の精神障害を持つ娘を20年以上介護しており、急に発狂し暴力を振るったり激昂したりする娘の介護に疲れていました。病に伏せている妻に暴力を振るっている娘を見て、首を絞めて殺害しました。

夫婦はその後車で海に飛び込み心中しようとしましたが失敗し、見ていた人に通報され逮捕されました。逮捕当時81歳だった父親は、精神障害者の介護の大変さや、自分たちも疲弊していった事を語りました。

現在も精神医療の改善は続けられている

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宇都宮病院事件では精神病患者に対する処遇や、医療に対する制度の問題などが取り上げられ、改善されましたが現在でも精神医療の難しさによって、様々な問題点が上げられています。

措置入院や重度の障害者の拘束の問題など、容易には判断できない事も多数あり、非常に難しい問題とされています。しかし徐々にですが改善は続けられていっています。今後も精神医療の問題に目を向けていきましょう。

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