マキャベリストとはどういう意味?目的のためには手段を選ばない人? 恋愛・心理

マキャベリストとはどういう意味?目的のためには手段を選ばない人?

目的のためには、他者を手段化することを厭わない「マキャベリスト」。「マキャベリスト」の意味する人物像は?サイコパスや、ナルシストとの違いは?ここでは、マキャベリストの診断方法をはじめとして、彼らの特徴や遭遇した際の対策、対応の仕方についてご紹介します。

目次

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マキャベリストとは?意味は?どんな人のこと?

「マキャベリスト」とは、具体的にどのような人物を指す言葉なのでしょうか?また、サイコパスやナルシストと呼ばれる人物像とは、どこに違いがあるのでしょうか?

ここでは上記の疑問に加え、マキャベリストのルーツである『君主論』の著者「ニッコロ・マキャヴェッリ」を参照し、もともとの意味を確認します。

続いて、マキャベリストの人格特性や、人間の進化においてマキャベリストがどのように理解されているかなどもご紹介します。

マキャベリストは、目的のためなら手段を選ばない人?

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マキャベリストは、一般的に「目的のためには、手段を選ばない」という考え方を持っている人物を指します。マキャベリストの用いる手段は、主に「他人を操る」ことです。

誰もが一度は、自身の目的を達するために他者を利用した経験があるのではないでしょうか?そのような場合、並大抵の人間は、良心の呵責を感じるものです。

しかし、マキャベリストと呼ばれる人格を持つ人々は、他者を手段化することに罪悪感を抱くことがないのです。

マキャベリストという言葉の語源は?実在した人物?元々の意味は?

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現在は、目的のためには手段を問わない人物を評して用いられる「マキャベリスト」ですが、本来はマキャベリズム(Machiavellianism)を信奉する人物をあらわす言葉です。

マキャベリズムとは、イタリア(ルネサンス期)の思想家「ニッコロ・マキャヴェッリ(以下マキャベリ)」が主著『君主論』において展開した、きわめてリアリスティックな政治思想に由来します。

『君主論』では、政体や君主の在り方が論理的に記述されています。しかし時代を経てマキャベリズムは通俗化し、手段の非人道性は国家の繁栄を目的とするかぎり正当化される、といった面が強調されるようになります。

ニッコロ・マキャヴェッリとはどんな人物?「君主論」とは?

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マキャベリズムの語源となった「ニッコロ・マキャヴェッリ」とは、どのような人物だったのでしょうか?主著『君主論』の一部を引用しながら、ご紹介していきます。

ニッコロ・マキャヴェッリとは?

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マキャベリは15世紀~16世紀のイタリアの思想家で、外交官としても活躍しました。故郷はフィレンツェ南西にあるアルノ河付近で、法律家の父を持ちます。

貴族の家柄でありながら、質素な幼少期を過ごしたと「ヴィットーリ宛書簡」で述懐しています。メディチ家の没落によって混乱をきわめたフィレンツェで学を深め、政治の道に進みました。

1502年にはイタリア征服を試みたチェーザレ・ボルジアのもとに派遣され、その冷酷ながらも確かな政治的手腕を観察、享受しました。しかし、メディチ家の復権後は冷遇され、寒村で執筆にいそしむこととなります。

君主論とは?

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『君主論』は、復権したメディチ家とマキャベリの橋渡しを担った一冊でもあります。

当時の実質的な君主ロレンツォ・デ・メディチへの献辞と26章で構成され、君主の「統治」、「性格」などが、以下のようにさまざまな角度から検討されています。

  • 第1章 君主国にはどんな種類があり、その国々はどのような手段で征服されたか
  • 第14章 軍備についての君主の責務
  • 第17章 冷酷さと憐れみ深さ。恐れられるのと愛されるのと、さてどちらがよいか
  • 第25章 運命は人間の行動にどれほどの力をもつか、運命に対してどう抵抗したらよいか

その第25章においてマキャベリは、混沌とした世相を運命の女神「フォルトゥナ」になぞらえ、「ヴィルトゥ(力量、自由意志)」によって運命を支配することが君主には望ましい態度だと語っています。

マキャベリスト、サイコパス、ナルシストは邪悪な人格特性?違いは?

マキャベリストは心理学の分野において、ナルシスト、サイコパスと並べて「邪悪な人格特性(Dark Triad)に分類され、社会や組織に悪影響を与える特性と解釈されています。

ナルシストは自尊心の高さやエゴイズムによって、サイコパスは反社会的な行動や衝動性の強さによって他者に苦痛を与えます。

上記に対してマキャベリストでは対人操作、道徳感覚の欠如などが問題となりますが、権謀術数に優れているため、その反社会性が見定めにくい場合があるのが特徴です。

マキャベリズムは人が賢くなった理由?

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人間の知能が進化したのは、社会集団が複雑化するに伴い「他者を出し抜いたり騙す必要性が生じたため」とする主張があります。

この「社会的知能仮説」は、1976年に心理学者ニコラス・ハンフリーによって提唱され、のちにバーンおよびホワイトゥンによって「マキャヴェッリ的知性仮説」と呼称されました。

集団の中で駆け引きに秀でた者、いわばマキャベリスト的な個体が有利に繁殖を繰り返し、結果として人間の知能が現在のレベルまで達したとするのがこの説の骨子です。

マキャベリストかどうか診断・テストする方法は?

マキャベリストは、その行動傾向に固有の特徴があるため以下の診断項目を確認しておくとよいでしょう。

「嘘をつくことに罪悪感がない」、「成功者=品行方正という確信」、「幼少期からボス的存在である」、「成功のためにはルールを無視する」などがマキャベリストの特徴です。

他にも「有力者に媚びへつらう」、「人をカモだと考える」、「発覚しないよう巧妙に行われた犯罪は犯罪と思わない」といった行動や思考はマキャベリスト的だといえます。

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マキャベリストの特徴まとめ

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先述したように、マキャベリストには一般人と比較して、特徴的な行動傾向があります。ここでは、マキャベリストの特性をより詳しく15種類ほどご紹介します。

①計画的に行動し、周囲の信頼を得る

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マキャベリストの行動は計画的です。目的達成において有用そうな人間がいると、あらゆる手段を講じてその人物信頼を得ようとします。

トラブルなどが発生した際、いつも都合のよいタイミングで現れて、場を納めてしまう人物はマキャベリストである可能性があります。

それだけなら、頼りがいのある人物ですが、そのトラブルは、あらかじめマキャベリストによって仕組まれていたことかもしれないのです。

②愛想が良い

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周囲を警戒させないために、普段は愛想よくしているのがマキャベリストです。

気さくに話しかけて油断させておき、利用できるときに利用するのは、マキャベリストの常套手段といえます。穏やかで親切に見せながらも、頭の中では、策謀が張り巡らされているのです。

③謙虚で魅力的な人物に見える

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愛想がよく頼れそうな雰囲気をもっていますから、マキャベリストは、一見して謙虚で魅力的な人物に見えます。

また、周囲の信頼得るため外見に気を遣っており、仕事着などはハイブランドで統一している傾向もあります。

しかし、付き合いが深くなるにつれ、本性が露わになってくると、その魅力的な人物の影に怯える人たちがいることに気づかされます。

④人の弱点を見つけるのが得意

マキャベリストは、人の弱点を見逃しません。いつでも人を利用するための材料を探しており、人の欠点や苦手なこと、弱みに付け込んで利益を得ようと算段します。

巧みな話術や策謀で得た人脈を駆使して人に取り入り、他者の弱点をうまく探るのがマキャベリストの特徴です。

また、本人さえ自覚していない弱点を突いてくる場合さえあるため、マキャベリストの被害者は自身がターゲットとなっているのを気づけずに、いつの間にか傷を負わされてしまうこともあります。

⑤人心操作が得意

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マキャベリストは、人を操ることを得意としています。不得手なことや面倒事は、掌握済みの他者を利用して遂行するのです。

利用されている側は、愛想のよさや魅力に騙されているため、みずから進んでマキャベリストの手助けをしてしまうことさえあります。

しかし、利用されている側にリターンが少ない場合が多く、いつの間にかマキャベリストだけが利益を得ているという状況が発生します。そんな場合でも、持前の人心操作で文句を言わせません。

⑥討論や交渉が得意

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弁舌に長けているため、討論や交渉を得意とするのもマキャベリストの特徴です。討論においては、相手の論拠の弱点を突いたり、話をすり替えたりして相手を屈服させます。

また、交渉においては弱みに付け込んだり、愛想のよさで自身に有利なように事を進め、競争相手に差を付けようとします。

⑦嘘をつくのに抵抗がなく、嘘を正当化する

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おおよその人間は、真実を伝えづらい場合につく優しい嘘に対してさえ、疚しい気持ちにを覚えるものです。しかし、マキャベリストは良心の痛みなど、何ら感じずに嘘八百並べ立てることが可能です。

嘘をつくことが社会通念上好ましくないということを表面上把握しているように見えても、目的を達成のためならそのような倫理観は平然と踏み越え、嘘を正当化できるのがマキャベリストなのです。

⑧冷酷な行動もとれる

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人倫に反する行いさえ、ときには平然とやってのけるのがマキャベリストです。競争相手には容赦がなく、役に立たない味方は見捨てます。

さらに、理解をもって接すべき弱みを抱えている人間でさえ、狡猾に攻め、さらに弱らせて自身の支配下に置こうとします。

人を裏切るような冷酷な行為も、自身の目的の遂行を第一とするマキャベリストにとっては正当な手段なのです。

⑨衝動的に行動することがある

普段人当たりが良い人物が衝動的な行動に出たら、その人物はマキャベリストである可能性があります。

表面的な愛想のよさは、マキャベリストの本来の姿ではありません。したがって、抑制された内なる攻撃性に歯止めがきかなくなることがあるのです。

⑩プライベートでは関係がなかなか続かない

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会社などの公的な場では、成功を目指して積極的に他者と関わるマキャベリストですが、プライベートにおいては持続的な関係を築くことを苦手としています。

苦手というよりは、興味がないといったほうがより適切かもしれません。彼らは他者を手段としてしか見ないため、利害を超えた関係に価値が見いだせないのです。

⑪マキャベリストは自分の考えや行動を正常だと思っている

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人の弱みに付け込む行為、他者を操り搾取すること、人を冷酷に裏切ること。いずれも大抵の人間は、そのような行いをしてしまったら後悔し、自己嫌悪や罪悪感に苦しめられます。

しかし、マキャベリストは、自身の課題の遂行や利益の保持が至上目的のため、上記のようにふるまうことは正常だと考え、ときには犯罪さえ厭いません。

したがって、マキャベリストが自分の行動を顧みて反省し、みずからの行いを正すことはないといえます。彼らの人格が他者に危害を加えるほど深刻な場合、家族の申告や法的措置によって治療が開始されます。

⑫ビジネスでは成功者に多い

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冷血な行いから犯罪者に結びつけられがちな人格ですが、ビジネスでの成功者にはマキャベリストも存在します。とりわけ、政治家や官僚、企業家などには多くいるとされています。

これは、マキャベリストの闘争心や勝利への執着、現実主義的な面が、競争原理を基本とする資本主義社会において、有利に働くためだと考えられます。

完全なマキャベリストは、最終的に人から見放されてしまいますが、成功にはマキャベリスト的な要素も必要ということなのかもしれません。

⑬協力者を得ると脳が活性化する

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ハンガリーのペーチ大学の研究によって「協力者を得るとマキャベリストの脳が活性化する」との結果が示されています。マキャベリスト指数の高い人物を対象に下記の実験が行われました。

  • プレイヤーに500円の通貨を付与
  • プレイヤーは手持ちから金額を決定し、パートナーに投資
  • 投資した金額は、パートナーの元で3倍に増加
  • パートナー(人間と見せかけたAI)が、プレイヤーへの返却額を決定
  • 返却額は、AIが公平な額(初期投資+10%)か不公平な額(初期投資の1/3)か決定
  • 次いで、プレイヤーが投資される側となり、パートナーが投資した金額がプレイヤーの元で3倍に増加
  • 返却額はプレイヤーが決定

上記のゲームにおいて、マキャベリストに対して協力的なパートナーが出現した際、脳の他者を思いやる部位が抑制され、判断や理解を司る部位が活性化したとの報告がされています。

この結果は、「カモ」が現れた際、マキャベリストの脳は興奮すると解釈することができます。

⑭自分の利益のために他人を利用しない人を賢くないと考える

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マキャベリストは、自分の目的のために他者を利用することを厭わないばかりか、そうしない人間は愚かだと考える傾向があります。

精神科医リチャード・クリスティーは、マキャベリストの人格を分析した上で、彼らの思考を「愚か者は毎分生まれている、彼らは利用すべきだ」と端的に表現しています。

⑮女性よりも男性に多い

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マキャベリストは、女性よりも男性に多いとされています。また、大人だけでなく、子どもであってもマキャベリストは存在します。

なぜ、男性の方が多いのでしょうか?男性に求められる社会的役割による説明や、支配欲を増加させるホルモンが女性より多いためといった説もあります。しかし、現段階では明確な理由は定かではありません。

マキャベリストに出会ったら?対応はどうすればいいの?

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他者を利用し、傷つけるマキャベリストたち。彼らに出会ってしまったら、どのように身を守ればよいのでしょう。ここでは、マキャベリストに遭遇した際の基本的な対応策をご紹介します。

周囲が指摘する

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マキャベリストは自身を正常だと思っているため、みずから行いを変えることに期待するのは難しいでしょう。また、被害者の側も自身が攻撃にさらされていることに気づきづらいのが現状です。

ジョハリの窓という考え方によれば、人は自己を常に正しく把握しているとは限りません。

  • 開放の窓(自他ともに認識している自己、open self)
  • 盲点の窓(自身で気づいていないが、他者には認識されている自己、blind self)
  • 秘密の窓(秘匿された自己、hidden self)
  • 未知の窓(誰からも認識されていない自己、unknown self)

マキャベリストの行いは、ジョハリの窓における「盲点の窓」に該当します。したがって、マキャベリスト的にふるまう人間に対しては、第三者による「盲点の窓」の指摘が必須です。

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