

ポリゴンショックとは?死亡者はいた?当時の状況や事件後の影響は?
ポリゴンショックとは、アニメのポケモンでの演出が原因で、発作を起こした視聴者を多数発生した事件です。ニュースでも取り上げられ、死亡者もいたと囁かれるポリゴンショックですが、実際はどのような事件だったのでしょうか?ポリゴンショック事件について紹介していきます。
目次
[表示]ポリゴンショックとは?アニメの演出で子供が病院送りに?
ポリゴンショックとは、1997年に放送されたポケモンのアニメの中で使用された「パカパカ」という演出により、子供を中心とした視聴者が発作を起こしたという放送事故です、
中には病院に搬送された子供もいたことから、一時期はポケモンそのものが危険視される社会問題にも発展しました。そんなポリゴンショック事件の概要を紹介していきます。
ポリゴンショックとは、過剰な演出による放送事故?
ポリゴンショックとは初代のアニメ・ポケットモンスター内で行われた、光と原色を組み合わせた過剰な演出が原因で起こった放送事故です。
ポケモンの主な視聴者層は幼稚園~小学生の児童であったこともあって、多数の被害者が出たことから、当時は社会問題にまで発展しました。
ポケモン事件、ポケモンパニックとも呼ばれる?
ポリゴンショックとは、バーチャルポケモン・ポリゴンが登場した回で起きたことから付いた俗称です。
この時起きた放送事故にはいくつも呼び名があり、ポケモン事件、ポケモンパニック、ポケモンショック、ポケモンフラッシュと様々な名称で報道されました。
被害状況は?死亡者はいた?
ポリゴンショック発生時、この回のポケモンを視聴した多くの子供が、頭痛や吐き気といった体調不良を訴えて病院に搬送されたと言います。
放送直後に病院を受診した子供の総数はなんと651人にも上り、うち130人が入院をしました。
死亡者こそ出ませんでしたが、ここまで多くの子供が同じTV番組を観ただけで病院に搬送されるというのは、前代未聞の出来事でした。
被害者数でギネス記録にも認定されている?
被害者の多さから、この事件は国外でも話題となり、「最も多くの視聴者に、発作を起こさせたテレビ番組」として、ギネス記録にも認定されてしまいました。
また「ザ・シンプソンズ」や「サウスパーク」といったアメリカの人気テレビアニメでも、ポリゴンショックの様子はパロディとして取り上げられました。
ポリゴンショックが起こった当時の状況は?
ポリゴンショックが起きたポケモンの放送回とは、どのような内容だったのでしょうか?ここでは、ポリゴンショックが起きた当時の状況について紹介していきます。
発端となったのは「でんのうせんしポリゴン」?
ポリゴンショックを起こした演出があったのは、1997年の12月16日に放送された「でんのうせんしポリゴン」の回です。
当時アニメのポケモンは夜の19:00というゴールデンタイムに放送されており、この時の視聴率は関東で16.5%、関西で10.4%と高いものでした。
「でんのうせんしポリゴン」はどんな話だった?あらすじは?
「でんのうせんしポリゴン」は、サトシ・タケシ・カスミの3人が、ポケモン転送システム故障の謎を突き止めるために、コンピューター内に入るという内容でした。
サトシ達はポリゴン初号機に乗って電脳世界に移動し、そこで事件の首謀者であったロケット団と戦って一件落着。と、思われたものの、外の世界からコンピューターウィルス対策のワクチンが打たれてしまいます。
ワクチンから逃げながらロケット団を助け、サトシ達はポリゴンに乗って無事に現実世界に戻ってくる、これが「でんのうせんしポリゴン」のあらすじです。
光の点滅が多用された回だった?
電脳世界と現実世界を区別できるように、この回では光の点滅を利用した演出が多用されました。
視覚的に刺激の強い演出がされたのはワンシーンだけではなく、話の後半部分では、このような演出が連続して行われていました。
特に問題になったのは、ピカチュウの10まんボルトのシーン?
この回で起きた放送事故は、ポリゴンショックと呼ばれたことから、ポリゴンの演出が問題となったと思われがちですが、実は一番問題になったのはピカチュウの10まんボルトのシーンでした。
実はピカチュウがワクチンのミサイルを10まんボルトで撃ち落とすシーンで、一番刺激の強い演出がされていたのです。
体調不良を訴える視聴者が続出?
放送時間が夕食時だったこともあり、当時の放送の主な視聴者層は4歳~12歳の子供であったと言います。
子供達の体調不良の原因となったのが、光の点滅を継続的に長時間見続けたことによる、光過敏性発作であったとされます。
ポリゴンショックの原因は?パカパカ?
「でんのうせんしポリゴン」では、「パカパカ」と呼ばれる背景を短時間に点滅させるという演出がなされました。
パカパカは、現在のようにCGの技術が進んでいなかった当時のセルアニメーションでは、比較的よく使われる技法でした。
ポケモンではパカパカの中でも特に刺激が強いとされる、赤色と青色の点滅を行っており、この刺激が子供達には強すぎたと考えられています。
【閲覧注意】問題のシーンがYouTubeの動画に?
上の動画はYouTubeに投稿された、「でんのうせんしポリゴン」の問題のシーンの抜粋です。確かに点滅が激しく、長時間見ていると大人でもキツイものがあります。
凝視すると気分を悪くする可能性も高いため、刺激が強いと感じた場合は視聴を中止してくださいね。
ポリゴンショックのその後
人気のアニメを視聴していた子供が多数被害者となった前代未聞の事件であったため、ポリゴンショックについては、多くのマスコミが大々的に報道しました。
ここでは、放送後にポリゴンショックがどのように報道され、当時どのような社会的影響を及ぼしたのかについて紹介していきます。
事件直後、マスコミ各社が大々的に報道
ポリゴンショックが起きたその日の夜、NHKが21時台のニュースでこの事件を報道したことを皮切りに、様々な報道機関がこの件を取り上げるようになりました。
事件の翌朝には複数の新聞社が朝刊でポリゴンショックのことを扱い、中には「ピカチュウ子供たちを襲う」といった見出しも踊ったと言います。
ポケモンへの大バッシング?
アニメのポケモンの1話のみの演出が原因で起きたポリゴンショックでしたが、やがて批判はポケモン自体に対するものへと拡大していきました。
これは、ポリゴンショックで光過敏症発作を起こした子供の「ピカチュウの目が光って、気分が悪くなった」といった証言も相まって、事件の真相が正しく報道されなかったことも一因とされます。
1997年当時は、一般家庭にあまりインターネットが普及していなかったこともあり、口伝えの噂話から、ポケモンのゲームも子供に悪影響があると思われてしまったのです。
1997年12月17日、お詫びのテロップが流れる
事件が起きた翌日の1997年の12月27日には、ポケモンと同じくテレビ東京系列で放送されていたアニメ「少女革命ウテナ」の冒頭で、前日のお詫びのテロップが流れました。
このテロップは、前日放送された「でんのうせんしポリゴン」を録画している場合、それを視聴しないようにと呼びかける、注意喚起の役割も持っていました。
ポケモン関連の番組をすべて休止
事件を重く見たテレビ東京は、制作側で再発防止策が取られるまでは、アニメを含むポケモン関係の番組を全て休止する旨を発表しました。
このことを受けて、レンタルビデオ店からもポケモンのビデオは一時姿を消し、ゲーム番組内のポケモンの枠も他の番組に差し替えて放送されました。
NHKや厚生省、郵政省等が再発防止に向けて動き出す
ポリゴンショック事件の原因の究明に向けて、テレビ東京以外にも、NHKや当時の厚生省や郵政省と言った多くの機関が、対策プロジェクトを立ち上げました。
ポケモンは当時から子供に絶大な人気を誇っていたことため、被害が大きくなって注目を集めましたが、このような放送事故は、当時のどのアニメ番組で起こっても不思議ではなかったのです。
そのため再発を防止するためには、多くの機関が当事者として対策を考える必要がありました。
NHK「クローズアップ現代」で取り上げられる
幅広い社会問題を取り扱うNHK のニュース番組「クローズアップ現代」でも、ポリゴンショックは取り上げられました。
「TVアニメ・パニック」と題されたこの緊急特番は、「でんのうせんしポリゴン」が放送された翌々日の12月18日に急遽放送されています。
1998年4月11日、問題検証報告番組が放送される
1988年の4月11日に、テレビ東京系列では「アニメ ポケットモンスター問題検証報告」という特番を放送し、ポリゴンショックが起きた経緯を解説しました。
また、この番組が放送された翌日の4月15日、テレビ東京は事件後に病院に搬送された被害者のうち、接触できた269人のお見舞いをしたことと、245人の医療費を支払ったことを明かしました。
映像表現におけるガイドラインが制定
1998年4月に日本民間放送連盟とNHKは、共同で映像演出手法についてのガイドラインを発表しました。そして、その後にテレビ東京も独自で策定したガイドラインを発表しています。
テレビ東京が発表したものは、NHKと民放連のものよりも規制が厳しくなっており、問題の再発防止に向けるテレビ東京の姿勢がうかがえる内容となりました。
その後、視聴者の声でポケモンが放送再開
その後、1998年4月16日に、もう一度「アニメ ポケットモンスター問題検証報告」を放送したうえで、テレビ東京はポケモンのアニメの放送を再開しました。
この日の冒頭では、ポリゴンショック事件のお詫びと真相を報告したうえで、再放送に至るまで多くの視聴者から再開を望むメッセージを送られていたことを明かし、お礼を述べました。
事件後は、注意喚起のテロップが流れるようになった
事件後は、ポケモンを含む様々な子供向け番組で、上の画像のようなテレビ視聴に関する注意を喚起するテロップが流れるようになりました。
現在はすっかりおなじみになった「TVを見る時は、部屋を明るくして離れて」という内容のテロップですが、ポリゴンショックの前には存在しないものだったのです。
演出の自主規制も行われるように
テレビ局などがガイドラインを設けたこととは別に、アニメーションの制作会社も、ポリゴンショックの原因となった「パカパカ」などの過剰な演出を自主規制するようになりました。
また、事件前に作られたアニメ作品でも、光を多用した演出があるシーンは静止画に置き換えるなどの措置を講じてから、再放送されるようになりました。
ポリゴンがかわいそう?事件後の扱いは?
「ポリゴンショック」という事件の名前が浸透してしまったことがきっかけで、事件後は何故かポリゴンが公式から冷遇されるような扱いが多くなったという噂も存在します。
そしてそれを受けて「ポリゴンは悪くない」「ポリゴンかわいそう」という意見も上がるようになりました。ここでは、事件後にポリゴンを襲った風評被害について紹介していきます。
事件が起きた放送回は、「ピカチュウのもり」に差し替えられた
「でんのうせんしポリゴン」は、後にDVDなどに収録されることは無く、代わりとしてポケモンの38話は「ピカチュウの森」という話に変更となりました。
これに対して、後にネットなどでは「原因はピカチュウだったのにポリゴンが干されるのか!とショックだった」といった声も見られます。
事件後、ポリゴンはアニメ版に一切登場していない?
さらに事件以降、ポリゴンはアニメ版のポケモンに登場しなくなりました。
2002年の夏休み映画として公開された「水の都の護り神」では1カットだけ登場、サン&ムーンのアニメではポリゴンの名前だけが出てきていますが、出番はそれだけです。
ポリゴンはどんなポケモン?画像は?
ポリゴンはノーマルタイプのポケモンで、その名の通りポリゴンで作られたような体を持ちます。
初代のポケットモンスター赤・緑から登場しており、思い入れのあった子供たちにとっては、ポリゴンが罪を被る形になってしまったことはとてもショックな出来事でした。