ロボトミー手術は脳を切除する?現在も行われている?写真もある? おもしろ

ロボトミー手術は脳を切除する?現在も行われている?写真もある?

過去には精神疾患を精神外科をもって治療させるという事がありました。ロボトミー手術と言われ革新的な医療でしたが、後遺症が後を絶たず現在では行われていません。取返しのつかない事件も起きており映画の題材にも扱われてきました。そんなロボトミー手術の全容をお伝えします。

目次

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ロボトミー手術とは?脳を破壊し治療する精神外科手術?

ロボトミー手術とは大脳にある前頭葉の一部や前頭葉に繋がっている神経を切除することにより、攻撃性のある精神疾患などを改善する精神外科の一つです。

ポルトガルの神経外科医であるアントニオ・エガス・モニス医師により提唱され、1935年の実験により成功報告がされました。

当時は特に重度の精神疾患に有効な治療法が確立されていなかった事から、広く認知され行なわれた精神外科でした。

精神外科の代表と呼ばれたロボトミー手術(前頭葉切截術)とは

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まず、前頭葉とは人を人しめる役割を持った大脳の一部です。思考や記憶、感覚からの情報処理などを担っています。また、随意運動という自分の意志で動かす運動の指令も司る、高次元機能の部位です。

そしてロボトミー手術はその前頭葉と視床を繋ぐ神経を物理的に切除する手術です。視床は嗅覚以外の全感覚を司る部位の事です。当時は重篤な統合失調症やうつ病などに絶大な効果があるとされていました。

また他の脳手術と比べ、こめかみに小さな穴を空ける事で頭蓋骨自体には大きな穴を開ずに行う為、跡が残らない事がメリットとされてきました。

語源はロボット?ロボトミーは外科分野の術語

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その名前からロボトミーは人を機械のロボットのようにすると思われがちですが、ロボット(Robot)からではなく脳などの大きな臓器の単位である葉(Lobe)からきています。

前頭葉は英語でFrontal Lobeと書き、訳するとFrontal(正面の)Lobe(葉)、つまり前頭葉を指す言葉で、その葉(Lobe)を切り取ることからロボトミーと呼ばれるようになりました。

脳の一部前頭葉の破壊で性格が変わる?認識されたきっかけは?

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話は1880年に遡ります。スイスのゴットリープ医師が幻聴を訴える患者や統合失調症の患者に対して、大脳の一部を切り取る手術を行いました。結果、手術は成功し精神的に安定し病気が完治したのです。

そこから何度か同様の手術を行ったところ、いずれの患者も同じように完治し少しずつロボトミー手術が確立されてきました。

1935年にポルトガルのエガス・モニス医師が初めて人に前頭葉切截術を行った事を皮切りに様々な臨床試験が行われました。そしてフリードマン医師により発展し世界的に広まっていきます。

ロボトミー手術はうつなどの精神疾患への画期的な治療法と言われ流行した

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現在では向精神薬や理論的なカウンセリングにおいて精神治療が行われていますが、当時は確立されていませんでした。それまでは重篤な患者に対して今では考えられないような治療が施されていたのです。

当然、効果はほとんどなく患者はさらに苦しみもがいていたのです。そんな中、抜群の効果を発揮するロボトミー手術が認知され、重度な統合失調症やうつ病、さらには攻撃的な人物に対して行われました。

その人らしさを司る前頭葉の一部を切り取るロボトミー手術の効果は目に見えて効果がありました。それまで確率されていなかった治療法が効果のある治療へと変わったのです。

ロボトミー手術はどんな症状の時に行われる?爆発性精神病質の患者?

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ロボトミー手術において効果のある症状は主に感情を爆発させるような精神疾患でした。うつ病はやる気が起きないイメージがありますが、攻撃性を持った病気でもあります。

また統合失調症の患者も多く施術されました。統合失調症の代表される症状は幻覚や被害妄想などがあり、そこから感情が爆発し強い攻撃性を持つことがありました。

こういうった攻撃性は他人だけでなく、自傷行為や自殺といった自己破壊行動も含まれ、ロボトミー手術が行われてきたのです。

ロボトミー手術の治療効果は?日本でも統合失調症患者に行われた

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人を人たらしめるのは大脳の前頭葉と呼ばれる部位です。そこに外科処置を行いますので、非常に効果の高い術式でした。そして日本でもロボトミー手術は行われていました。

1942年、新潟医科大学(現・新潟大学医学部)の中田瑞穂氏によって日本で初めてロボトミー手術が行われました。対象患者は主に統合失調症で全国に広がって行きます。

日本においては1975年に学会でロボトミー手術が否定された以降は行われていません。そして、1979年にこのコンテンツでも紹介するロボトミー殺人事件が発生するのです。

ロボトミー手術には副作用・後遺症があった?実例は?

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ロボトミー手術にはある欠陥がありました。確かに成功実例はあったのですがごく僅かな人数でした。術後は攻撃性や凶暴性は減るようにになりましたが、しばらくしてある後遺症が共通して見られるようになるのです。

アメリカのある女性は激越型うつ病という非常に強い不安や落ち着かない状態にありましたが、この手術を行ったことで症状は落ち着くも無気力・無個性という感情や人格を失ってしまったのです。

また時代は第二次世界大戦でした。戦争により多くの精神疾患を患った兵士もいました。そうした兵士にもロボトミー手術が行われましたが、彼らに待っていたのはそれまでの士気と感情を失う事だったのです。

ロボトミー手術の副作用・後遺症とは?人体実験とも言われた?

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1935年にエニス・モニス医師らがチンパンジーによる実験を行い、翌1936年にはウォルター・フリーマン医師が実際に人を使って手術が行われます。フリーマン医師はモニス医師の術式を発展させて行いました。

動物実験の段階では前頭葉自体を切除する手術に対し、1936年に行われたのは前頭葉と視床を繋ぐ神経繊維の束を切除する手術でした。チンパンジーの実験からわずか一年で実際の人で手術が行われたのです。

そして当時は第二次世界大戦による精神疾患を患った多くの退役軍人や、画期的な向精神薬もなく苦しめられる患者が多かったのです。つまり、施術をしてデータを取るには不足しないだけの患者がいました。

ロボトミー後の人格像は、人間性の喪失?

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前頭葉は個人を個人であること、アイデンティティを司ります。私たちがそれぞれ自分であることは様々な環境や刺激を感じる事で経験を得て、自分という存在になります。

大脳の下部には視床という部位があり、嗅覚以外の感覚を大脳に送る部位です。ロボトミー手術は前頭葉と視床を繋ぐ神経の束を切除する術式ですので、当然ながら外部からの刺激を伝えにくくなるのです。

術後は感情表現の低下、無気力ですぐに諦めてしまう、人格の変化、抽象的な思考力が低下するなど、その人らしさを低減してしまうことが多くありました。

ジョン・F・ケネディの妹?知的障害を負ったローズマリー・ケネディ

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第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの妹である、ローズマリー・ケネディもまた、ロボトミー手術の患者でした。彼女の子供時代は知能は低いものの、おとなしい子供だったとされています。

成長するにしたがい、音楽やおしゃれを好む女の子になっていきますが、我が強くなってくるようになります。一説によると暴力性や極度の不機嫌などもあり家族は困惑していきます。

1941年、当時23歳の彼女はついにロボトミー手術を受けます。結果、それまでの暴力・凶暴性は消えました。しかし、失禁や幼児退行、話の内容が滅茶苦茶になるなどの後遺症を患うことになるのです。

ほとんど記憶できない?重篤な健忘症を負ったヘンリー・モレゾン

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ヘンリー・モレゾンは重度のてんかんに悩まされてきました。てんかんとは大脳のスイッチが一斉にオンになることで痙攣を引き起こしたり、体が硬直する、また意識が飛んでしまう等の症状があります。

彼はてんかん治療の為、内側の前頭葉を切除する手術が行われました。その切除部位には記憶を司る海馬も含まれていたのです。その結果、彼は重度の健忘症を患いました。

人格や一般知能においては後遺症はありませんでしたが、新しい記憶を維持することが出来なかったのです。

有名人や生存者からロボトミー手術の危険性が広まった

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多くの患者がロボトミー手術が行われました。良くなることを信じていた家族が見たのは変わり果てた身内です。

ロボトミー手術も発展し、脳外経験の無い精神科医も出来るようになると更にロボトミー手術は普及されました。それだけ困惑した家族も増えていき、ロボトミー手術に意をとなる人も増えたのです。

後遺症の残った患者は多い

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多くの患者はロボトミー手術により、後遺症を患うことになります。ロボトミー手術の開発初期においては自殺に至る患者もいました。

無気力・無個性等の後遺症を抱える事になるこの手術が広く行われる要因としては、他に効果的な治療法がなかった事が挙げられます。そのため、多くの患者が回復の代わりに一生残る後遺症を患うことになりました。

また医師らは後遺症よりも治療後に改善する事を家族に強く説明し、着実に手術件数と実績を増やす事になるのです。

ロボトミー手術は現在、廃止されている

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1952年、フランスの生化学者であるアンリ・ラボリ医師がクロルプロマジンという向精神薬が発見し、翌年にはヨーロッパ全土で使われるようになります。

日本では1957年にクロルプロマジンや他の精神薬の合剤であるベゲタミンが発売されており、2016年まで発売されていました。

薬物療法という新しい治療法が開発され、ロボトミー手術の後遺症が認知されたのも相まって日本では1975年に日本製神経学会でロボトミー手術が否決され、それ以降は行われていません。

ロボトミー手術の写真や成功例はある?

レントゲンで患者の手術箇所を検討してる写真です。写っている男性はロボトミー手術の第一人者、ウォルター・フリーマン医師(左)とジェームズ・ワッツ医師(右)

まぶたの裏からアイスピックの様な器具を入れて神経を壊す手術です。これにより頭蓋骨に穴を開けることなく手術を行うことが出来ました。

多くの後遺症を残すロボトミー手術ですが、ごく僅かに成功例はありました。しかし、ほとんど患者や家族は後遺症に悩まされ、それまでの人格を失い、職やそれまでの生活に支障をきたす人が多かったのです。

ロボトミー手術の有効性の証拠?ウォルター・フリーマンが撮った写真

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フリードマン医師らは全国各地を周り、患者の手術前と手術後の変化を写真におさめていました。患者の副作用よりも手術後の表情変化で完治した事をアピールしたのです。

成功例は数%しかなかったと言われている

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ロボトミー手術による成功例は数パーセントと言われています。低い確率でしたが他の治療法がなかったこと、また医師らが副作用を看過・否定していたことが世界的に広まった要因です。

ロボトミー手術の比較写真!手術前と手術後の顔写真➀~

左は手術前、右は手術から1年後です。この8歳の少年は統合失調症を患い、暴力的だったことから地下室に閉じ込められていました。報告にはロボトミー手術から一年後危険な兆候は見られないと記述されています。

ロボトミー手術の比較写真!手術前と手術後の顔写真②~

左は手術前で攻撃的な発言が見られたのに対し、右の写真は穏やかに笑顔でいます。彼は就職して夜間学校に通っていることが記述されています。

ロボトミー手術の比較写真!手術前と手術後の顔写真③~

統合失調症を患った女性患者です。手術後1年後の写真ですが、飼いならされたペットのように落ち着いたことが書かれています。

ロボトミー手術の比較写真!手術前と手術後の顔写真④~

緊張型統合失調症の女性です。緊張型統合失調症は多動で落ち着きがなくなる他、逆にじっと動かなくなり話しかけても反応がない事が症状として挙げられます。この患者は手術6ヶ月間良好な状態が続いています。

ロボトミー手術の比較写真!手術前と手術後の顔写真⑤~

同じく緊張型統合失調症の患者です。左の手術前の写真に比べ右の写真は手術16ヶ月後で笑顔で写っています。

ロボトミー手術の比較写真!手術前と手術後の顔写真⑥~

左は手術前です。真ん中は手術直後で右は手術後です。手術前よりも穏やかな表情で写っています。

ロボトミー手術の比較写真!手術前と手術後の顔写真⑦~

左の手術前に比べ、右の手術後の写真は穏やかに微笑んでいます。

ロボトミー手術の比較写真!手術前と手術後の顔写真⑧~

詳しい記述はありませんが、左は手術前の写真で、右は手術後の写真です。

ロボトミー手術の比較写真!手術前と手術後の顔写真⑨~

幻聴により地面に倒れ込んでいる写真です。手術二年後が右でしたが、穏やかな表情で写っています。

ロボトミー手術の比較写真!手術前と手術後の顔写真⑩~

左の写真は手術前です。初老に見えますが49歳の女性です。術後1年で表情が代わりアクセサリーもつけています。

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