永久機関とは?実現は不可能?本当に不可能なの?発明の例もまとめ

永久機関、それは多くの化学者が長年研究し続けている夢の装置です。永久機関を構築することができればこれまでの常識を超越した様々なことが実現されるでしょう。今回は永久機関の原理とその可能性、これまで考えられてきた永久機関装置について紹介したいと思います。

永久機関とは?夢が広がる?でも実現は不可能なの?

Pavlofox / Pixabay

ここでは永久機関とはどんなものなのかについてご説明したいと思います。そして理論的に実現可能であるかを熱力学の観点から検証していきたいと思います。

永久機関とは?外部からエネルギーを受け取らず仕事を行い続ける装置?

GDJ / Pixabay

永久機関とは「外部から一切のエネルギーを受け取ることなく仕事し続けるもの」を指します。つまり永久機関が一度動作を始めると、外部から停止させない限り一人で永遠に動作し続けるのです。

永久機関には無からエネルギーを生み出す「第一永久機関」と、最初にエネルギーを与えそれを100%ループさせ続ける「第二永久機関」の2つの考え方が存在します。

なお、「仕事」というのは「他の物体にエネルギーを与える」ことを指します。自分自身が運動しつづける、というのは仕事をしていないので永久機関とは呼べません。

永久機関の種類?第一種永久機関とは?熱力学第一法則に反する?

ColiN00B / Pixabay

はじめに第一永久機関についてご説明します。これは自律的にエネルギーを作り出し動作するような装置を意味しています。しかしこれは熱力学第一法則に反することが分かっています。

熱力学第一法則とは「エネルギー保存の法則」と呼ばれるものであり、「エネルギーの総量は必ず一定である」というものです。つまり「自律的に(無から)エネルギーを作り出す」ことはできないのです。

「坂道に球を置けば何もしなくても動き出すじゃん」と思う方もいるかもしれません。しかしこれは球の位置エネルギーが運動エネルギーに変換されているだけであり、エネルギーを作り出してはいません。

第二種永久機関は熱力学第一法則を破らずに実現しようとしたもの?

rawpixel / Pixabay

前述のとおり「自律的にエネルギーを作り出す」ことは熱力学第一法則によって否定されました。そこで次の手段として「エネルギー効率100%の装置」を作り出そうということが考えられます。

つまり、「装置が動き出すためのエネルギーは外部から供給する。そのエネルギーを使って永久に動作する装置を考える」というものです。これならば熱力学第一法則に反することはありません。

エネルギーの総量は一定というのが熱力学第一法則なので、仕事によって吐き出されたエネルギーを全て回収して再投入することで理論的には永久機関を作ることができるはずです。

第二種永久機関の否定により熱力学第二法則が確立された?

しかしこの第二永久機関も実現には至りませんでした。こうした研究の過程で熱力学第二法則が確立されます。熱力学第二法則とはエントロピー増大の法則と呼ばれています。

エントロピーとは分かりやすく言うと「散らかり具合」です。エネルギーには質があり「黙っていればエネルギーはよりエントロピーが高い(散かった)状態に落ち着く」という考え方です。

部屋を散らかすのと片付けるのとでは後者の方が大変であることは想像に難くないと思います。エネルギーも同じでエントロピーが高くなったエネルギーにより元の仕事をさせるのは不可能なのです。

永久機関の実現は不可能?理由は?

ijmaki / Pixabay

では永久機関の実現は可能なのでしょうか?現時点で発見されている法則から結論を言わせてもらうと答えはNOです。

なぜなら今回紹介していない熱力学第三法則まで含めた法則のどれにも反しない仕組みというのがどのようにしても実現できないためです。

ただし熱力学の法則は長年の経験に基づくものであり数学的に立証されているわけではありません。天動説のように将来的には否定されることがあるかもしれません。そう考えると夢がありますね。

これまでに考えられてきた永久機関は?例まとめ

holdentrils / Pixabay

今では熱力学の法則により論理的に永久機関を作ることができないと証明されてしまいましたが、過去には様々な永久機関が考案されていました。

ここでは過去の偉人たちが知恵を絞りだして考案した永久機関について紹介したいと思います。複雑な理論に基づく装置ですが、できるだけ分かりやすく解説したいと思います。

これまでに考えられた永久機関の例は?①:モーメントを利用したモデル

車輪の先に重りを付けたような装置です。モーメントは「勢い」みたいなものだとお考え下さい。要は車輪が回って重りに勢いがつき、その勢いで車輪を回す力にするという発想です。

これなら重りが勢いをつけてくれるので車輪のスピードがどんどん速くなっていくだろうと考えられました。いわゆる第一永久機関を実現するための装置として考案されています。

しかしこの装置では持ち上げられる側(勢いがつく前)の重りの方が数が多くなって(寄って)しまいます。つまり勢いがついていない重りの質量と勢いの力が釣り合ってしまい、永久装置とはなりません。

これまでに考えられた永久機関の例は?②:毛細管現象を利用したモデル

毛細管現象とは「細い管を水に差すと水が勝手に管の中を登っていく」という現象です。この現象を利用して「毛細管現象により上に上がった水を落として水車などを回す装置」が考案されました。

しかし、残念ながら毛細管現象は水の表面張力を利用した現象であり、管の壁面に水がへばりつくというイメージです。なので、へばりついた水はそこで止まってしまい、下へ落ちることはありません。

これまでに考えられた永久機関の例は?③:浮力を利用したモデル

続いては浮力を利用した永久機関のモデルです。上と下に穴が開いた水瓶にひもでつないだ浮きを取り付けます。浮きが浮力によって上に上がろうとする力を利用してひもを回そうという発想です。

しかし、これには大きな2つの欠点があります。まず瓶の下から水が漏れてしまうため永久機関とはなりえません。また、外に位置する浮きが水の中に入るためには水圧以上の力で浮きを押し込む必要があります。

しかし、水圧>>浮力のため、浮力程度では水圧に負けずに浮きを水の中に押し込むことができません。よってこの装置は動作することがありません。

これまでに考えられた永久機関の例は?④:オルフィレウスが考えたモデル

19世紀初頭にオルフィレウスという科学者が開発したと言われている永久機関です。この永久機関は実際に制作されて展示まで行われていますが、その構造は一切公開されることはありませんでした。

構造を解明するためカール大公はイギリス王立学府と協力し、オルフェウスが提示した法外な費用を支払い永久機関を買い取ろうとします。しかしオルフィレウスは適当な理由をつけ装置を破壊しました。

結局取引は白紙となってしまいましたが、ここからオルフィレウスが嘘をついていたことはほぼ明らかです。法外な金額を提示すれば引き下がると思ったが、だめだったので「壊した、おしまい」としたのでしょう。

アニメや漫画などに登場する永久機関は?

jsks / Pixabay

現実世界で永久機関を実現することはできていませんが、アニメや漫画の世界では永久機関が発明され、実用に至っているケースも多く存在します。その多くは巨大ロボや主要機関に利用されています。

ここではアニメや漫画の中で語られている永久機関について紹介したいと思います。

S2機関(新世紀エヴァンゲリオン)

S2機関とは「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する永久機関であり、正式名称はスーパーソレイド機関です。アダムを含むすべての使徒の動力源になっていると勘がられているものです。

スーパーソレイド理論である「この世は全てDNAを表す螺旋構造が元になっており、螺旋の形から全てのエネルギーが得られる」という考えで成り立っていると言われています。

この理論は発見されたS2機関を解析するために考案された理論であり、実例を元に理論を構築した例です。なお、S2機関は自律的にエネルギーを生成するので第一永久機関に分類されます。

マザーシステム(ウィザーズ・ブレイン)

ウィザーズ・ブレインでは「自然現象・物理法則に人間が干渉し書き換える事が出来る」技術およびそれを行使することができる「魔法士」と呼ばれる改造人間が存在します。

かれらが「エントロピー増大の法則」を書き換え、前述の問題点をクリアしたうえで開発されたのが永久機関「マザーシステム」です。マザーシステムは第二永久機関に分類されます。

しかし、マザーシステムを継続するためには定期的に魔法士を一人生贄にする必要があります。外部から(エネルギーではないが)魔法士を投入している、と考えれば完全な永久機関と呼ぶことは難しいかもしれません。

オルフィレウス式永久機関、フルカネルリ式永久機関(魔装機神サイバスター)

オルフィレウス式永久機関は前述のオルフィレウスが開発したとされる永久機関だと思われます。また、オルフィレウス式永久機関の数十倍のエネルギーを生み出すフルネルカリしき永久機関というのも存在します。

しかし、フルネルカリ式永久機関は精霊との契約を前提としていること、機関を動かすためには操縦士のプラーナというエネルギーを供給する必要があります。そのため、永久機関と呼べるかは難しいところです。

地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)(ジョジョの奇妙な冒険)

ジョジョの奇妙な冒険に登場する「地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)」は、柱の根元に溜まった油が潮汐力などを利用して柱の中の穴を通り、柱の登頂まで上昇してまた落ちてくるという仕組みです。

ただ、潮汐力を利用しているということは月の慣性エネルギーを利用しているということであり、永久機関ではないと言ってよいかと思います。なお、作中でも永久機関だという描写はありません。

永久機関・少女帝国(Fate/EXTRA)

こちらはFate/EXTRAに登場するアリスの宝具です。自身や創造物の時間を巻き戻す効果を持っています。永久機関の名前は冠していますが、永久機関ではありません。

永久機関は本当に存在しないの?永久機関っぽい発明まとめ

mohamed_hassan / Pixabay

「永久機関は作ることができない」というのが今の科学の結論ですが、それでも永久機関を発明しようとしている発明家は多く存在します。

ここでは一風変わった「永久機関っぽい」発明について紹介したいと思います。

永久機関は本当にないの?①:ネオジム磁石の永久機関?磁石で扇風機はできる?

磁石を利用して永久機関を作ることはできるのでしょうか?YouTubeなどで磁石を利用してファンを回す、それにより発電を行う動画などが存在しますが、そのほとんどはトリック動画です。

磁石で物を動かすというのはリニアモーターカーなどでその理論は存在します。しかし、リニアモーターカーは電磁石によりN極、S極を素早く動かして前へ進む力を生み出しているのです。

外から全くエネルギーを供給しなければ磁石でも「くっついて終わり」です。大抵のフリーエネルギー動画ではボタン電池などを仕込むことにより永久機関のように見せかけているのです。

永久機関は本当にないの?②:ネオジム磁石でガウス加速器

ガウス加速器とは、磁石のひきつけあう力を利用して鉄球を打ち出す装置です。ネオジム磁石などの強力な磁石を利用することにより、高速で鉄球を打ち出すことが可能となります。

これを利用して永久機関を実現しようというのが上記の動画ですが、見ていただくと分かる通り鉄球が戻ってくるタイミングで鉄球をセットしていますね。

初めは勢いよく鉄球を打ち出すことができますが、その球が戻ってきた際、次に打ち出す球がなければ当然そこで動作はストップします。永久機関にはなりえません。

永久機関は本当にないの?③:永久機関の発電機は?

永久機関の発電機についてもたまに話題に挙がることがありますが、もし本当にそのようなものが存在するのであれば熱力学第一法則を超越していると言えるでしょう。

上記の動画でも自身のコンセントにつなぐことで電気がグルグル回っている(?)というようなことを言いたいのかなと思いますが、コンセントにつないで消費した電力はどのように回復しているのでしょうか?

その前に、そもそも自分同士で結線して電気が流れるなれば、帯電している人が右手と左手をつなげば永久に電流が流れ続けることとなりそうです。

永久機関は本当にないの?④:水飲み鳥

これも一見外からの力がなく連続して動いている装置に見えます。水飲み鳥の中にある赤い水は「塩化メチレン」という化学物質で、室温で沸点に達し、蒸発する特性があります。

これが蒸発することにより、重心が変化して取りは水の中に頭を突っ込みます。そしてくちばしの先にある布が水を吸収し、塩化メチレンを冷却することで液体に戻り、元の位置に戻るのです。

ここまで聞くと永久機関のように見えますが、塩化メチレンを冷却するには水が必須です。そして連続稼働すると徐々に水は減ってきますので、水を追加しない限りいつかは止まってしまうのです。

永久機関は本当にないの?⑤:水撃ポンプ

水撃ポンプとは、動力を必要とせずに水を上に押し上げるポンプを指します。しかし、これは水が持つ位置エネルギーなどを利用しているだけであり、永久機関とはなりえません。

永久機関は本当にないの?⑥:水車

HeungSoon / Pixabay

水車も誰が回す訳ではなく一人でに回っていますよね?しかしこれは水が流れる力で水車を回しているだけであり、外部からエネルギーを供給しているので永久機関ではありません。

永久機関は本当にないの?⑦:振り子

QuinceMedia / Pixabay

2重振り子はある振り子が別の振り子を動かしている、という意味では仕事をしているため、永久に動かすことができれば永久機関と言えます。

しかし実際は空気抵抗による摩擦、衝撃時の熱エネルギーなど別のエネルギーとして発散されるため、永久に動き続けることはできません。

永久機関は本当にないの?⑧:電磁石とモーター

blickpixel / Pixabay

電気を流すことで回るモーターとモーターを回すことによる発電。これをつなぎ合わせることで永久に動き続ける装置が完成するのでしょうか?

答えはNOです。エネルギーを変換する際に必ずロスが発生するため、お互いのエネルギーを100%回収することができないためです。

永久機関は本当にないの?⑨:フラスコ

永久機関っぽい動画です。コーラやビールなどではループしているのが見て取れますが、これは炭酸のシュワシュワ力で液体を教え毛ているからです。

外部からの力がなければ水は水面と同じ位置までしか上がりません。

永久機関は本当にないの?⑨:ハンドスピナーと磁石

ハンドスピナーに磁石を取り付け、磁力で永久的に回すというチャレンジが多く動画で公開されています。しかしこれも原理的には不可能であり、ほとんどは画面外から風を送っているというものです。

永久機関のおもちゃやインテリアは?

Couleur / Pixabay

永久機関ではないですが、一度動き出すとずっと動き続けるというおもちゃは存在します。そんな永久機関に似たようなおもちゃについてご紹介します。

永久機関のおもちゃ?永久機関を目指したおもちゃは?

849356 / Pixabay

ずっと動き続けるおもちゃとして有名なのはニュートンバランスと呼ばれる振り子ですね。一度動き始めるとカチン、カチンと一定のリズムで動き続けます。

空気抵抗や衝撃の際に発散してしまうエネルギーが存在するため永久機関ではないですが、発散するエネルギーは運動エネルギーよりもはるかに小さいため、長時間動作することが可能です。

永久機関のインテリアはある?オブジェは?

永久機関風のインテリアも存在します。電池が続く限り回り続けるコマやソーラー発電で回り続ける風車などですね。しかしこれらは電池や太陽光が必要なので永久機関ではありません。

NEXT 永久機関を作ってみた?作り方は?