高裁が再審請求棄却で話題!!戦後最長の冤罪・袴田事件とは?袴田巌さんはどうなる?

48年間、死刑囚として投獄されていた袴田巌さん。2014年に彼が釈放されたとき、日本中が彼に注目しました。戦後最長の冤罪事件として知られる事件ですが、実際どんな事件なのか。何が争点なのか。再審請求棄却によって、今後何が起こるのか。調べてみました。

再審請求棄却!!袴田巌さんへの高裁の無情な判断

1966年、一人の男が強盗殺人、放火、窃盗で逮捕、起訴されました。元プロボクサーで味噌工場従業員の袴田巌さんです。裁判では一貫して犯行を否定したものの、取り調べ段階での自白が決め手になり静岡地裁は死刑判決を下しました。そして、1980年に最高裁で上告を棄却したことで死刑が確定しました。

その後も、獄中から再審請求を訴え続け、2014年に静岡地裁が再審請求を認め死刑の執行を停止、釈放を認めました。実に48年ぶりの釈放に日本中が注目しました。検察側は即時抗告。再審請求の棄却を求めて争っていました。そして2018年6月11日、東京高裁は再審請求を棄却しました。

再審請求棄却とは?

静岡地方裁判所は袴田巌さんの再審請求を認め、死刑及び拘置の停止を命じ袴田さんを釈放しました。これに対して、静岡地方検察庁は不服申し立てを行いました。これにより東京高裁は静岡地方裁判所が再審請求を認めた根拠を精査し、再審請求が妥当かどうか判断するというものです。

そして2018年6月11日、東京高裁は再審請求を棄却しました。この判断によって、今後はどうなるのか。非常に不透明になってしまいました。このことにより袴田事件はさらに長期化することになりました。これほどまでに複雑化する袴田事件とはどういったものなのか。順を追ってみていきましょう。

袴田事件①事件発生〜袴田巌さん逮捕

事件の発生は今から52年前。いまから半世紀以上前です。静岡県清水市の味噌製造会社専務宅から火災が起こりました。焼け跡からは4人の遺体が発見されました。遺体はこの家に住む専務夫妻と次女、長男の4人で、めった刺しにされていたことから警察は殺人事件と断定。

さらに、多額の現金には手が付けられてなく、八万円奪われただけだったことから怨恨の線で捜査を展開したようです。捜査の結果、逮捕されたのは会社従業員の袴田巌さんでした。袴田さんは逮捕後、連日の取り調べにより取り調べにより警察のシナリオ通りの自白をしてしまいます。

袴田事件②袴田巌さんの自白〜静岡地方裁判所により死刑判決

袴田さんが自白したことにより、袴田さんは殺人罪で起訴されました。この自白が最大の決め手であり、現在の最大の争点でもあります。袴田さんの取り調べは炎天下で一日平均にして12時間も行われ、長いときには17時間の取り調べがなわれたこともありました。

さらにトイレに行かせない、安眠させないなど非人道的な行為によって袴田さんは追い詰められていきました。さらに勾留期限が迫ってくると、こん棒で殴る、蹴るの暴行が行われるようになりました。それに耐えきれなくなった袴田さんは勾留期限三日前に自供してしまいます。

自白の信用性が争点

最大の争点は自白の信用性でした。自白は強要されたのか、それとも、適切な取り調べだったのか。自白調書は45通ありましたが、どれもが拷問に近い尋問の末に自白したものでした。検察側はこの自白を唯一の根拠としていたため、この自白を切り崩すことが弁護側の最大の目標でした。

突然の証拠出現

物的証拠が乏しい中、自白の信用性をめぐって裁判が続く中、事態は急転します。突然、検察側が物的証拠を提出したのです。それは味噌工場の味噌タンク内から『五点の血染めの衣類』が発見されたということでした。この証拠を裁判所は採用したため、1968年に死刑判決を受けました。

死刑確定

静岡地方裁判所の死刑判決を不服とし、弁護側は控訴しました。しかし、1976年に東京高裁で控訴棄却。さらに、1980年に最高裁が上告を棄却し、死刑判決が確定しました。この時から報道番組や週刊誌では、袴田死刑囚として呼称されるようになります

袴田事件➂袴田巌さん側、再審請求

1981年に弁護側が再審請求。十三年後の1994年に再審請求棄却。この時から袴田さんの長い戦いが始まります。その後も高裁、最高裁と抗告していきましたが、いずれも再審請求は棄却されました。2008年に第一次再審請求が終了。これで袴田さんの希望は潰えたように思われました。

袴田事件④袴田巌さん側、第二次再審請求

2008年4月25日、弁護側は第二次再審請求をしました。望みは薄いように思われていましたが、2010年には衆参両院議員による『袴田巌死刑囚救援議員連盟』を設立。『袴田巌死刑囚救援議員連盟』は袴田死刑囚は心神喪失状態にあるとして、法務大臣に刑の執行停止を要求。

さらに日本弁護士連合会が精神疾患を理由に刑の執行と医療機関での治療を受けさせるように要請しました。これらの動きが活発になると、多くの報道機関が袴田事件に動きがあるのではと注目するようになります。そして、2011年に事態が動き始めます。

袴田事件④袴田巌さんの再審の準備が始まる

2011年2月に千葉景子法務大臣の指示で袴田巌さんに精神鑑定を実施。しかし、『執行停止の必要性は認められない』との結論を下した。そして2011年8月に『5点の衣類』などについて再鑑定を実施することを決定しました。

袴田事件➄袴田巌さん、再審決定。48年ぶりに釈放。

袴田事件が進展を見せたのは2014年3月27日でした。静岡地方裁判所が再審の開始と死刑及び拘置の停止を決定しました。同日午後、袴田巌さんは東京拘置所から釈放されました。実に48年ぶりの外の世界でだったようです。この釈放は生中継され、多くの人が目にしました。

袴田事件⑥2018年、再審請求棄却

2018年、再びこの事件が話題に上がります。なんと東京高裁が再審請求を棄却したのです。多くの人が袴田さんの無実を信じ、再審の決定を疑っていなかったので驚きをもって受け止められました。弁護団はこの判断を非難し、抗告をすることを決めています。

高裁はなぜ棄却したのか

再審請求が認められたのは、弁護団による証拠の鑑定が大きな比重を占めていました。裁判途中で見つかった『5点の血染めの衣類』を再鑑定。この血液が事件の被害者のDNAと一致しなかったこと、警察と検察による証拠のねつ造の可能性が」極めて高いことが再審決定の決め手でした。

しかし今回の高裁の判断はこの証拠鑑定の信用性は低いと判断したようです。この鑑定を行った鑑定人が鑑定データを消去していたり、通常とは異なった手法で鑑定している点など信用性を欠いていると指摘し、地裁が認めた再審請求を棄却したようです。

唯一の被害者遺族は?

袴田事件には唯一の生き残りがいます。被害者である味噌会社の専務一家は5人家族でした。そのうち死亡したのは専務(47歳)、妻(38歳)、次女(17歳)、長男(14歳)の4人で、同日家にいた長女(19歳)は生き残っています。この長女は袴田事件唯一の生き残りとして注目されています。

『袴田事件』の真犯人は?

袴田事件の真犯人は誰なのか。袴田さんでないとすればいったい誰なのか。袴田さんが犯人として考えるには多くの疑問点があること、物的証拠が乏しいことなどがハードルとして存在しています。袴田さんが犯人でないと仮定すると、誰が真犯人なのでしょう。

最も有力とされているのは唯一の生き残りの専務の長女です。この長女は勘当されていて普段は家にいませんでした。しかし、事件当日はなぜか家におり、しかも家族で唯一生き残っています。さらに怪しいのは家には大量の現金があったのに8万円しか奪われていないことです。

動機は怨恨?

金品が8万円しか奪われていないことで、当初動機は怨恨であるとみられていました。袴田さんには怨恨などの感情的な動機は存在しませんが、勘当された長女にはあります。しかしこの説を立証することは限りなく不可能になってしまいました。

長女が亡くなってしまったからです。2014年3月28日長女が自宅で亡くなっているのが発見されました。死因は明らかになっていませんが、前日には袴田さんが釈放されています。あまりにも不可解というのか、偶然というのか真相は闇の中になってしまいました。

再び死刑になるのか?

再審請求が棄却されたことによって、再び収監され死刑の執行が行われるのかと気になっている人も多いようです。しかし、その心配はないようです。高裁は『袴田の年齢や生活状況などを鑑み、釈放の取り消しが相当とは言い難い』として拘置と死刑の執行停止は維持するようです。

今後はどうなるのか?東京最高裁判所の判断を待つ

今後はどうなっていくのか。その判断は最高裁の決定を待つことになります。半世紀も前の事件なので証拠や目撃情報など新たな証拠が出てくる可能性はほぼセロです。なので、いまある物証や状況証拠で判断することになります。最高裁の判断次第では死刑の執行もあり得るということです。

両陣営、決め手に欠ける

検察側は自白の強要や証拠のねつ造など多くの疑惑が上がっています。一方で、袴田さんの弁護団も慎重さにかけ、DNA鑑定の不確実性や証拠の判断を捻じ曲げていると指摘されるなど、批判があるのも事実です。今回の高裁の判断によって袴田事件の先行きは不透明になってしまいました。

戦後最長の冤罪事件『袴田事件』の結末は・・・

そもそも『袴田事件』は冤罪事件なのか。今回の高裁の判断で袴田事件というものがわかりにくくなってしまいました。専門家の中には、証拠の信用性が疑わしくなったことから合理的に有罪を証明できないため再審は妥当だと主張する人もいます。

世論も冤罪事件と認識しており、高裁の判断に疑問を持つ人も多いようです。袴田巌さんは82歳。すでにいくつかの病気を患っています。多くの権力によって人生を狂わされてしまった袴田さん。彼が元気なうちに、真相が解明されることを多くの人が望んでいます。