
ハリネズミのジレンマとは?ヤマアラシとの違いや心理学での例
心理学において、人間関係の複雑さを説明する際に使われる例えといえば「ヤマアラシのジレンマ」ですが、名作アニメ「エヴァンゲリオン」で使われた「ハリネズミのジレンマ」をご存知でしょうか。今回は、ハリネズミとヤマアラシの2つの「ジレンマ」についてまとめました。
目次
[表示]ハリネズミのジレンマとは?
ヤマアラシのジレンマは聞いたことがあっても、ハリネズミのジレンマとは何なのか、検討がつかない方も少なからずいらっしゃるかと思います。
こちはでは、ハリネズミのジレンマのルーツについてまとめました。
ハリネズミのジレンマのお話
とある2つの山に、オスとメスのハリネズミが住んでいました。最初は互いの存在すら知らない2匹でしたが、いつしか2匹は惹かれあっていきます。
愛し合った2匹はお互いに近づこうとしますが、2匹の体には 鋭い針があり、近寄れば近寄るだけ相手を傷つけてしまいます。
何度も試行錯誤を重ね、2匹は互いを傷つける事なく、寄り添える距離を見つけました。
ハリネズミのジレンマはヤマアラシのジレンマがルーツ
上の項目でご紹介したハリネズミのジレンマのお話は、ドイツの哲学者ショーペンハウエルの寓話(擬人化などを用いた比喩)であるヤマアラシのジレンマを基にしたお話です。
ヤマアラシのジレンマなら聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。しかし、若い方の中にはヤマアラシのジレンマを知らず、ハリネズミのジレンマなら聞いたことがあるという方も多いのです。
なぜ、ヤマアラシのジレンマのはずがハリネズミのジレンマになったのかを、下記でご説明します。
ヤマアラシのジレンマは心理学者フロイトが作った例え話
そもそも、ヤマアラシのジレンマとは、ショーペンハウエルの寓話を心理学者であるジークムント・フロイトが人間関係を形成する事の難しさを説明する際に用いた例え話です。
フロイトといえば、心理学を始め、精神分析学などで多大な功績を残した偉大な研究者です。そんなフロイトが、最後にたどり着いた研究は、夢から心理や精神を紐解く「夢判断」でした。
芸能界も、とても夢のある場所ですが、実際は少し違うようです。こちらから、芸能人のスキャンダルに関連する記事をご覧いただけます。
新世紀エヴァンゲリオンのサブタイトルでハリネズミのジレンマが用いられた
では、心理学者の大家であるフロイトが人間関係の難しさを例えた「ヤマアラシのジレンマ」が如何にして「ハリネズミのジレンマ」になったのか。
実は、ハリネズミのジレンマとは日本の誇る名作アニメ「エヴァンゲリオン」のサブタイトルで使用された造語だったのです。
新世紀エヴァンゲリオン第4話「雨、逃げ出した後/Hedgehog’s Dilemma」として使われました。この回はアニメのオリジナルで、原作にはありません。
ハリネズミとヤマアラシの違い
なぜ、エヴァンゲリオンのサブタイトルは、ヤマアラシのジレンマではなくわざわざハリネズミのジレンマとしたのでしょうか。
アニメを制作した側の単なる間違いとする意見もありましたが、ハリネズミとヤマアラシの体を覆う「針の違い」により、あえてハリネズミとしたのだとする意見もありました。
その意見では、ヤマアラシの針は刺した相手の体に刺さったまま残るが、ハリネズミの針は刺した相手には残らない。その違いを、アニメでは人間関係の難しさとして表したのでは、と考察されていました。
ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマの心理学における具体例について
ヤマアラシのジレンマは、心理学において人間関係の難しさを例えたお話ですが、具体的には人間関係のどのような難しさを例えた話なのでしょうか。
こちらでは、ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマの心理学における具体例をまとめます。
針の長さは他人との距離感
ハリネズミ(ヤマアラシ)のジレンマとは、フロイトが人間関係を構築する際、誰しもがぶつかる「他人との距離感」を例えたものです。
ハリネズミ(ヤマアラシ)の体を守る針は、他者との距離が近ければ、刺す気がなくても相手に刺さってしまいます。かといって、針が刺さらないほど遠ければ、相手の温もりも感じられません。
この、温もりは感じられるけれど針が刺さらない位置を掴むまでの例えとして、フロイトはハリネズミ(ヤマアラシ)のジレンマを使ったのです。
具体例「正直に本音を話す」
それでは、ハリネズミのジレンマで言うところの「近づきすぎて針が刺さってしまう関係」の具体例を考えてみましょう。
A子さんが、仲良くなり始めたB子さんにB子さんの直した方が良い欠点を指摘しました。A子さんにしてみれば親切心ですが、B子さんは傷つき、A子さんから離れていきました。
これは、相手と近づき過ぎてしまったために「針が刺さってしまった」場合の具体例です。次に「温もりを感じられない」具体例を考えてみます。
具体例「本音を話すことができない関係」
C子さんは、D子さんと何年も前からの友人ですが、C子さんはD子さんの好物を知りません。また、D子さんもC子さんの好物を知りません。
2人とも、相手と自分の好みが違った場合を恐れるあまり、好物について話をしたことがないのです。極端なものではありますが、ぬくもりを感じられない距離感の具体例です。
2つの具体例をみて、人間関係構築の難しさを痛感したかと思いますが、フロイトは紹介した具体例の関係を繰り返すうちに、適度な距離感は見つかるものだとしています。
ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマを恋愛に例えると
上記のヤマアラシ(ハリネズミ)の具体例は友人との関係でしたが、恋愛ではどのようなものを指すのか、具体例をまとめます。
友達以上恋人未満
ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマでは、針が届かない距離は痛みもありませんが、ぬくもりも感じられないと紹介しました。
その距離を恋愛に置き換えると、友達以上恋人未満の関係になります。友達以上恋人未満という宙ぶらりんな関係は、痛みはありませんが、ぬくもりもありません。
恋愛関係の発展のためには、針が刺さる痛みを甘受し、ぬくもりを感じる事、それを繰り返して適度な距離を見つけるしかないのです。
コミュニケーションの取り方
ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマは、心理学者のフロイトが人間関係を構築するために必要なコミュニケーションの取り方を、わかりやすく例えたものです。
フロイトは、ヤマアラシのように「近づきすぎて相手を傷つけてしまう体験」と、「傷つけるのを恐れるあまりに遠くなる関係」を繰り返す事の重要性を説いています。
失敗を体験する事で、初めて適度な距離感は掴めるものです。恋愛とは何事も臆病になるものですが、恋愛こそ「失敗は成功のもと」の精神で、コミュニケーションを作り上げましょう。
ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマを恋愛で活かすには?
ここまで、ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマが、恋愛ではどのような関係を指すかをまとめてみました。
恋愛においては、針が刺さってしまうことを恐れてしまい、距離感が遠いままでは友達以上恋人未満の関係から抜け出せません。
近づき過ぎて針が刺さる体験と、温もりが届かないほどの遠い距離感を体験する事で、適度な距離感は掴めるものです。ハリネズミのジレンマを活かし、素敵な恋愛を楽しんでください。
ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマの解決方法
ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマは、深い人間関係を構築するためには必要なステップには違いありません。
しかし、ヤマアラシのジレンマとは「人間関係」が拗れている期間です。関係が拗れている相手が親しければ尚更、早く解決したいものですよね。
そこでこちらでは、ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマを解決する方法をまとめます。
思い込みを失くす
ヤマアラシのジレンマで拗れた人間関係を解決するために最も必要なのは、思い込みを失くす事です。ヤマアラシのジレンマに陥っている間は、相手の心情や受け取り方を客観的に考える事が難しくなります。
それは仕方のない事ですが、客観的な視点を失くしたままでは、自分の考えや感情にしか視点がいかない「思い込み」の坩堝にはまってしまいます。
思い込みを失くし、相手の感情を考えてみる「客観的な視点」を持てば、ヤマアラシのジレンマは解決の道筋が見えてくるはずです。
行動に移す
「こうすれば、相手とに拗れた関係を元に戻せるはず」という解決策に目星がついたなら、行動に移しましょう。解決策はあっても、相手との関係を元に戻すための一歩が踏み出せない。
そんな「ジレンマ」を抱えた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。相手からの反応がわからなくて怖いというのもわかります。
しかし、こちらから一歩を踏み出したのにも関わらず突っぱねるような相手なら、関係を深くする必要はありません。解決策を行動に移しすのと同時に、相手が関係を深くするに値する人であるかも見極めるチャンスです。
ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマは嘘だった?
ここまでヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマをご紹介してきましたが、実際のヤマアラシやハリネズミは、ジレンマを感じるのでしょうか。
こちらでは、ヤマアラシ(ハリネズミ)は、実際、相手に針が刺さるのかをまとめます。
実際は寄り添えたヤマアラシ
ヤマアラシのジレンマでは、近づきすぎると相手に針が刺さってしまうとされていますが、実際にはいくら寄り添っても相手に針が刺さる事はありません。
ヤマアラシの針は、外敵から身を守るためのものです。そのため、危険を感じた場合には針を立てて攻撃しますが、普段、針は背中に沿うように倒れているため、刺さるものではありません。
しかし、ヤマアラシの針はアルミ缶を貫通させるほどの強度があり、万が一刺さってしまうと大怪我をするかもしれません。なので、もし触れるような機会があっても迂闊に触れない方が良いでしょう。
ハリネズミもじゃれあえる
ヤマアラシ同様、 ハリネズミの針も無闇に刺さらないように出来ています。ただ、ハリネズミの針はヤマアラシとは違い「攻撃するため」の針ではありません。
ハリネズミの全身を覆う針は短く細いもので、ヤマアラシのように鋭く硬い針ではなく、「身を守るため」の針です。
そのため、ハリネズミもハリネズミ同士でじゃれあう事は十分に可能です。
ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマの関連作品
ハリネズミのジレンマは、アニメ新世紀エヴァンゲリオンのサブタイトルで使われた造語でした。
実は、エヴァンゲリオンをはじめとして、他にもヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマに関連した作品があります。
こちらでは、ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマに関連した作品をまとめます。
おそ松さん
2015年から2016年に放送された大人気アニメ「おそ松さん第1期」でハリネズミのジレンマが使用されました。
ハリネズミのジレンマが使用されたのは、おそ松さん第1期の第10話「イヤミのレンタル彼女」内の冒頭部、ショートストーリーです。
「おそ松さん」の中でも人気の高いキャラクター「カラ松」の心の葛藤を描いたストーリーで、反響も大きかったようです。
新世紀エヴァンゲリオン
前項でも触れましたが、「ハリネズミのジレンマ」を生み出したアニメ新世紀エヴァンゲリオンも忘れてはいけません。
ハリネズミのジレンマがサブタイトルで使用された新世紀エヴァンゲリオン第4話は、「エヴァンゲリオン」の主人公である少年の、心理描写と彼を取り巻く大人の背景が見え始める回です。
それぞれの葛藤、悩み、区切った過去は確かに「ヤマアラシのジレンマ」で感じるであろう内容です。しかし、なぜあえて「ハリネズミのジレンマ」としたのかは、謎のままです。
みんなでぬくぬく
みんなでぬくぬくとは、1997年に童話館から発行された絵本です。
ある冬の日に、ストーブが壊れたハリネズミとリスが、互いに暖を求めて右往左往する内容です。
暖を取りたいのに、針があるために体を寄せられないハリネズミの心理描写が悲しくも、最後はほっこりと暖かな気持ちになれる絵本です。
ペットとして人気爆発!可愛いハリネズミ!
最近、ハリネズミがペットとしてブームになっているのをご存知ですか。
ハリネズミは、可愛らしい見た目と、夜行性で、飼い主が働いている昼間は大人しくケージ内で過ごし、鳴き声を立てない習性から、一人暮らしの方でも飼い易いと人気が高くなりました。
しかし、飼い易さとお世話のし易さは比例しないようです。
ハリネズミはお世話が大変!
そもそも、ハリネズミは暖かい地域の生き物ですので、日本の様に寒暖差のある地域での生活には順応できません。
そのため、ハリネズミを飼う際には温暖差を感じないよう、ハリネズミの暮すケージ内は、一年中温度25度~29度、湿度60%に保たなくてはなりません。
それだけでも、電気代がかかりますが、他にも餌代やトイレ砂、病院代などの費用がかかります。
ハリネズミカフェを活用して!
ハリネズミを飼いたいけど、お世話に自信がないという方には、ハリネズミカフェがオススメです。
ハリネズミカフェとは、猫カフェのハリネズミバージョンで、様々なハリネズミと触れ合いながらお茶も楽しめます。
ジレンマは解決できる!
いかがでしたか。「ヤマアラシのジレンマ」も「ハリネズミのジレンマ」も意味は同じですが、ルーツが違いましたね。
最後に、ハリネズミのジレンマを抱えるであろう芸能人のスキャンダルの情報について関連する記事を記載します。よろしければ、是非ご一読ください。