ハーメルンの笛吹き男は実話だった!子供たちは何処へ?真相に迫る

「ハーメルンの笛吹き男」というお話を覚えているでしょうか。グリム童話として有名ですが、事実を元に作られています。あらすじから読み解く笛吹き男の目的や、子どもたちが黒死病だった可能性など、「ハーメルンの笛吹き男」の真相に迫っていきたいと思います。

「有名なグリム童話」ハーメルンの笛吹き男は事実だった?

「ハーメルンの笛吹き男」。このお話を子供のころ読んだり聞いたりした方も多いでしょう。ネズミを操っていた笛吹き男が子供たちも連れ去ってしまうという、少し怖いお話です。

このお話は実際に起きた事件を元にして、現在のような形にまとめられました。記録によれば、13世紀末のドイツで子どもが多勢行方不明になるという事件が起きたとされています。

ドイツ史に残る最大のミステリー事件でもある

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おとぎ話ならば何が起きても不思議ではありません。しかし「ハーメルンの笛吹き男」が現実世界に存在して、村中の子供たちがいなくなったとしたら歴史に残る大事件です。

800年前に起きた事件で不明な点も多く、有識者たちがさまざまな検証をし見解を発表しています。しかし全容解明にはほど遠く、「ドイツ史上最大のミステリー事件」とも呼ばれています。

おとぎ話の元ネタとなっている

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「ハーメルンの笛吹き男」というのはおとぎ話です。本当にあった事件を元にして、グリム兄弟など複数の人間が話をまとめたり脚色を加えたりして現在のストーリー、あらすじが完成しています。

事実だったハーメルンの笛吹き男の記録について

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「ハーメルンの笛吹き男」の元になった事件とは、どんな内容だったのでしょうか。おとぎ話の元となった事件は、ハーメルンのマルクト教会にあるステンドグラスに記されていました。

1284年、聖ヨハネとパウロの記念日6月の26日、色とりどりの衣装で着飾った笛吹き男に130人のハーメルン生まれの子供らが誘いだされ、コッペン近くの処刑の場所でいなくなった(引用:Wikipedia)

13世紀末のハーメルンで、犯人の笛吹き男によって、子供が多数連れ去られたというシンプルな内容です。ここからあらすじを詳しく紹介していきます。

1284年ハーメルンの町にネズミが大量発生

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事件の舞台は1284年のドイツ。ハーメルンという町で大量のネズミが発生し、住民たちが困っていました。ある日派手な衣装を身に纏った男が現れ「報酬と引き換えにネズミ退治をしてあげよう」と持ち掛けます。

退治するも報酬を払わなかった住民

ネズミ被害に苦悩していた住民は男の誘いに乗り、ネズミ駆除を依頼します。男が持っていた笛を吹き始めると、不思議なことに町中のネズミが男の元に集まってきました。

笛を吹きながら歩く男の後ろをネズミたちは追います。男が川へ向かうと、ついてきたネズミ達は次々に川へ飛び込み溺死しました。男は見事にネズミを駆除したのです。

当然男は報酬を要求しますが、金が惜しくなった住民は支払いを拒否しました。男は住民の裏切りに激怒しますが、一旦その場から姿を消しました。

1284年6月26日の朝、男が子ども達と消える

1284年6月26日の朝、「ハーメルンの笛吹き男」が再び姿を現しました。男が笛を吹き始めると、町中のこどもたちが家を飛び出し、男の後ろについて歩きだしました。

総勢130名もの子供たちは、男に続き町外にある洞穴へ向かいます。子供達は男と共に洞穴に入っていき、内側から石で入り口を塞いでしまいました。そして二度と出てくることはなかったのです。

実際に子供たちは消えている

実は、ハーメルンの記録は1284年の「ハーメルンの笛吹き男事件」から始まっています。130人もの子供が行方不明になった大事件をきっかけに、町の史実を教会のステンドグラスに残し始めたようです。

我らの子供達が連れ去られてから10年が過ぎた(引用:Wikipedia)

これもステンドグラスに残された一文です。事件で子供達が消えてから10年経ったという記録を「史実として」残していることから、子供達が消えたのは事実であるようです。

ハーメルンの笛吹き男の真相と目的

子供達を連れ去った「ハーメルンの笛吹き男」の目的はなんだったのでしょうか。報酬を渋った住民への仕返しか、それとも他に理由があったのでしょうか。

研究者の間でも議論されているものの、いまだ真相の解明には至っていません。ここからは「ハーメルンの笛吹き男」の真相と目的について、いくつかの説をご紹介します。

笛吹き男は精神異常の小児性愛者説

「ハーメルンの笛吹き男」真相と目的、1つ目は精神異常の小児性愛者による事件だという説があります。ウィリアム・マンチェスターは、「炎のみに照らされた世界」の中でこう解説しています。

笛吹き男は130人の子供達を「いたずら目的で誘拐」し、目的を遂げた後は殺害したと推測される。なぜなら誘拐事件の後、森の中で子供達の悲惨な遺体が複数発見されているから。

この説が本当だとしたら、笛吹き男は精神異常の小児性愛者の可能性があります。しかし子供達の遺体が発見された記録は残っていない上、ウィリアムが根拠となる資料や証拠を一切示さないため、真偽は不明のままです。

笛吹き男は魔法使い説

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「ハーメルンの笛吹き男」真相と目的、2つ目は魔法使い説です。ハーメルンの新門にはラテン語が刻まれた碑文があります。「笛吹き男はマグス(魔法使い)だった」と書かれていて、研究者はこう分析しています。

笛吹き男は子供達をあの世に連れ去る「死神」で、ついて歩く子供達は「死の舞踏」を踊っている。つまり、突然あらわれた死神によって、子供達が魔法のように消えてしまったことを表している。

実際には突発的な出来事(川で溺れる、土砂崩れなどの自然災害、流行病にかかる)で、子供達が死んでしまった。それを当時の美術的表現を用いて記していると考えられているのです。

少年十字軍運動説

「ハーメルンの笛吹き男」の真相と目的、3つ目の説は「少年十字軍運動説」です。少年十字軍とは、少年少女だけで軍隊を編成し、聖地を奪還せんとエルサレムに向かう集団のことです。

少年十字軍は1200年代初めごろ、ドイツやフランスで活発化。総勢2万人もの子供がしました。しかし十字軍といっても所詮は子供の集まりで、武器や食糧も不十分な状態だったため聖地に辿りつくことすら稀でした。

子供の中にも狂信的な人物がいて、その子をリーダーにして子供達が集団で町を出ていきました。無事に帰郷した者はほぼいなかったことが「ハーメルンの笛吹き男」と共通しています。

新地開拓説

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「ハーメルンの笛吹き男」の真相と目的、4つ目は新地開拓説です。ハーメルン以外にも新たな町をつくるため、自らの意思で出て行ったというものです。

この説には根拠があり、ドイツ東部にはハーメルンに関連する名前が付けられた町や村が存在しているのです。これらはハーメルンからの移民が名付けたと考えられているのです。

笛吹き男は移民推進派のリーダーで、付き従った子供たちが新地を開拓したということです。しかし移民は元の集落と連絡を取るのが普通で、2度と会えなかったという点では疑問が残ります。

笛吹き男が奴隷商人説

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「ハーメルンの笛吹き男」の真相と目的、5つ目は笛吹き男は奴隷商人説です。中世ヨーロッパでは児童売買は珍しいことではなかったそうです。

孤児や私生児など訳アリな子供たちが、植民請負人に売られて新地開拓者となって町を出て行った姿が「ハーメルンの笛吹き男」の真相だというのです。

また、先に述べた少年十字軍も人身売買の被害にあっていました。聖地に向かう途中、商人にだまされ、乗っている船ごと奴隷商人に売り飛ばされた子供たちもいたそうです。

黒死病から遠ざけた説

「ハーメルンの笛吹き男」真相と目的6つ目は黒死病から遠ざけた説です。黒死病とは別名「ペスト」とも呼ばれ、元来ネズミなどが保有するペスト菌が人に感染することで発症する病気です。

黒死病は何度か大流行を起こしていて、14世紀半ばのヨーロッパでは甚大な被害が出ています。当時の記録では「人口の60%が黒死病で死亡した」と書かれるなど、恐ろしい伝染病として知られています。

「ハーメルンの笛吹き男」に連れ去られる子供たちは黒死病にかかってしまい、他社への感染を防ぐ目的で隔離したという説です。しかし2つの事件は年代的に数十年のずれがあるため、疑問も残ります。

ハーメルンの笛吹き男の真相と目的は謎のまま

「ハーメルンの笛吹き男」の真相と目的には、諸説あります。しかしそのどれも根拠や証拠が乏しく、すべては謎のままだと言わざるを得ません。

結末についても元々は「連れ去られた子供達とは2度と会えない」という悲しく辛いこのお話。しかしグリム童話などでは子供むけの為に、穏やかなオチに変えられています。

穏やかなあらすじとしては、笛吹き男は子供に危害を加えず、住民が謝罪し約束を守る(報酬を払う)ことで、大人しく町を去っていく。約束を守ることの大切さを教訓とするような内容に変わっています。

ハーメルンの笛吹き男の真相についての諸説

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「ハーメルンの笛吹き男」の真相について論じてきましたが、内容についても諸説あります。長年語り継がれ、多数の人間によって編集されるうちに、あらすじに変更や追加が行われたようなのです。

残された子供たちについて

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「ハーメルンの笛吹き男」では、130人もの子供が連れ去られます。しかし物語によっては、取り残された子供たちがいたという記述もあります。

取り残された子供は3人で、それぞれ目、耳、足に障害をもっていました。3人とも笛吹き男の行列についていけず、遅れた為に町に取り残されたとされています。

ネズミの発生は書き加えられたもの?

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ネズミの駆除事件はストーリーの初めに起きていて、「ハーメルンの笛吹き男」のあらすじ上でも重要に思えます。しかしステンドグラスに残された記録には、ネズミ駆除の記述は全くないのです。

最初の記録は「笛吹き男が子供たちを連れ去り、2度と会えなかった」という内容のみ。笛吹き男がネズミ駆除をした話は、後世に付け加えられたもののようです。

日本でのハーメルンの笛吹き男について

グリム童話などとして世の中に知られるようになった「ハーメルンの笛吹き男」。日本でも翻訳され、子供向けの絵本などが出版されています。

日本も童話として子供向けに出版されたものは、結末を変えたものも多いのです。住民の謝罪による和解の他にも、外部から正義の味方が現れて、笛吹き男から子供たちを救う勧善懲悪のストーリーなどもあります。

ハッピーエンドと解釈できるものもある

ストーリー自体はそのままで、エンディングのみ付け加えられた物もあります。「子供たちは人をだます人間がいる町を出て、より良い国へ行き幸せに暮らした」というものです。

ハーメルンの大人は、笛吹き男にネズミ駆除をさせたのに報酬を支払わなかった。嘘をついたり人を裏切るような悪い人間であるから、子供達はそこから逃れて幸せ、という表現がされています。

ハンセン病患者説

日本の医学者の中には、「ハーメルンの笛吹き男」がハンセン病患者を意味していると指摘する人もいます。日本でも病気の知識不足により、ハンセン病患者を強制的に隔離した歴史があります。

同様なことは中世ヨーロッパでも起きていて、ハンセン病患者を隔離するために町から追い出した記録が、この物語の元になったという説です。

日本でのハーメルンの笛吹き男の派生作品

日本に伝わる童話の中でも、メジャーな「ハーメルンの男」。その人気からか、数多くの派生作品が生まれています。ここからは小説や漫画、アニメ、ゲームと楽曲までご紹介します。

小説・ライトノベル

小説1作目は、藤木稟の「ハーメルンに哭く笛」です。30人の子供が殺害される事件が起き、容疑者は笛吹き男であるというミステリー作品です。

小説2作目は、はやみねかおるの「笛吹き男とサクセス塾の秘密」です。名探偵・夢水清志郎シリーズの第12作目。サクセス塾の生徒130人を消すと予告してきた笛吹き男と夢水探偵の対決が見物です。

漫画

漫画の1作目は、渡辺道明「ハーメルンのバイオリン弾き」です。バイオリンなど笛以外の楽器を用いて他人を操るファンタジー作品です。

漫画2作目は、藤子不二雄の「ドラえもん」です。41巻に収録された作品中に、ハメルンチャルメラという笛が登場。ハーメルンの笛と絡めた機能がついています。

アニメ・特撮

アニメ1作目は「エウレカセブンAO」です。「 Pied Piper(笛吹き男」というチーム名には、深い意味が込められているのです。

アニメ2作目は「仮面ライダーウィザード」です。魔法使いが現れて、ハーメルケインという武器で人を操ります。

ゲーム

ゲーム1作目は「アラド戦記」、MMORPG作品です。「誘惑の町ハーメルン」では笛吹き男と思しき敵が現れます。

ゲーム2作目は「絶対迷宮グリム~七つの鍵と楽園の乙女~」、PSP、Windows作品です。主要人物の中に、笛吹きのハーメルンというキャラクターがいます。

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