「セシウムさん」とは?不謹慎なテロップの犯人やその後

「ぴーかんテレビ」にて番組のプレゼント企画で当選者発表をした際、当選者の住所や名前を怪しいお米セシウムさん、汚染されたお米セシウムさんと表示してしまい「セシウムさん騒動」と話題になりました。いったいなぜ騒動が起こったのか、犯人は誰だったのか、詳しく調べました。

怪しいお米・汚染されたお米セシウムさんとは?放送事故!

セシウムさん騒動は東海テレビ放送「ぴーかんテレビ」にて起きた放送事故です。

番組中に岩手県産のお米の当選者発表が表示されたのですが名前や住所が表示されるべき部分に「怪しいお米」「セシウムさん」「汚染されたお米 」「セシウムさん」と表示されたのです。

アナウンサーは謝罪、岩手県知事は抗議文を提出、東日本大震災後のことであまりに不謹慎だとネット上で炎上し社会現象にまでなりました。

リハーサル用のダミーテロップが操作ミスで送出された

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不適切なテロップは岩手県産のお米の当選者が決まる前につくられたリハーサル用のダミーテロップでした。それが操作ミスで送出されてしまったのです。

東海テレビ放送「ぴーかんテレビ」とは?

『ぴーかんテレビ』は、1998年3月30日から2011年8月4日まで東海テレビで放送されていたローカルワイド番組。東海テレビ本社Aスタジオからの生放送を行っていた。

(引用:Wikipedia)

「ぴーかんテレビ」のターゲットは主婦です。バラエティ形式で東海3県の情報を放送していました。

2006年にはマスコットキャラクターも誕生しましたが2009年には廃止しています。この頃からややニュース番組色を強くしました。視聴率も悪くなく、安定した番組でした。

セシウムとは?

セシウム (新ラテン語: caesium[3], 英: caesium, cesium [ˈsiːziəm]) は原子番号55の元素。元素記号は、「灰青色の」を意味するラテン語の caesius カエシウスより Cs。軟らかく黄色がかった銀色をしたアルカリ金属である。融点は28.44 °Cで、常温付近で液体状態をとる五つの金属元素のうちの一つである

(引用:Wikipedia)

2011年3月11日、東日本大震災の地震と津波の影響で福島第一原子力発電所事故が起きました。その際放射性物質の放射性セシウムが放出されてしまったのです。

広範囲に拡散した放射性セシウムは土壌や海洋、食品を汚染しました。牛や米などから規制値を超える放射性セシウムが検出されたのです。

放射性セシウムは体内に入るとがんになる可能性があると言われているため、国民は脅威にさらされました。

福島第一減配事故で風評被害が懸念される中での不謹慎なテロップだった

甚大な被害をもたらした東日本大震災。その後の2011年8月4日に放送事故が起きました。

東海テレビの番組「ぴーかんテレビ」の「しあわせ通販」のコーナーで起きた放送事故です。

テレビショッピングの放送中に突如、画面が切り替わりプレゼント当選者の発表画面になりました。

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岩手県産のお米に当選した人の名前や住所を発表するテロップだったのですが、住所の部分は「怪しいお米」名前の部分は「セシウムさん」と表示されていたのです。

同様に「汚染されたお米 」「セシウムさん」とも表示されていました。

福島第一原発事故と放射性セシウムの放出により周辺地域の農産物、畜産物が売れなくなってしまうのではないかと懸念されていた中でのことです。

謝罪をするも時すでに遅し

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番組MCの福島智之アナウンサーは「しあわせ通販」のコーナーが終了した直後に謝罪しました。

福島智之アナウンサーはその後の番組のエンディングでも不適切な表現の映像が放送されたことについて謝罪しています。

なお番組プレゼントである岩手県産のお米、ひとめぼれ10kgの当選者3人は福島智之アナウンサーが手書きのフリップにて発表しました。

岩手県は安全性を主張

この放送事故について岩手県知事は抗議文を提出しました。

「東日本大震災津波からの復興に全力をあげて取り組んでいる本県を誹謗中傷したもの」

(引用:Wikipedia)

また、岩手県の広報サイトは、2011年8月時点で流通している米は2010年秋に収穫されたものであると説明しています。原発事故発生前の米なのです。

岩手県の場合は低温倉庫、準低温倉庫で適切に保管、管理されたものが流通している、岩手の米を含め全国の米は安全な米であると強調しました。

リハーサル用にしてもおふざけが過ぎていると苦情殺到&炎上へ

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放送当日の午後6時半までにおよそ300件の苦情電話が東海テレビに殺到しました。

その後も電話は鳴りやまず、ネット上ではリハーサル用にしてもおふざけが過ぎていると指摘され掲示板などで炎上、大きな騒ぎとなったのです。

このセシウムさん騒動に関する苦情、抗議の電話やメールは東海テレビの視聴者センターで対応していましたが放送から2日後の6日の夜までに1万件を超えています。

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苦情は主に岩手県などの東北地方在住者からで、関係者の厳しい処分を求める意見が多くありました。

この騒動で東海テレビは8月5日に放送予定だった番組を中止します。

3分間、セシウムさん騒動について番組MCである福島アナウンサーが謝罪し、その後は「トムとジェリー テイルズ」が穴埋めとして放送されました。

JA岩手県中央会の田沼征彦会長は「事故ではなく事件だ」と批判

放送翌日の8月5日の朝、当時コンプライアンス担当だった営業取締役、そして営業次長の2名が岩手県に向かいました。

岩手県庁を訪れて被災者及び生産農家を嘲るような放送をしてしまったことを謝罪しています。2名はその後農協(JA岩手県中央会)に向かい、生産農家におわびをしました。

東大野潤一農林水産部長も抗議したのです。また、JA岩手県中央会の会長もセシウムさん騒動を非難しました。

盛岡市内で会談したJA岩手県中央会の田沼征彦会長も「悪ふざけにも程がある。我々にとっては事故ではなく事件だ」と厳しく批判し、抗議文を手渡した。

(引用:Wikipedia)

社長が謝罪に行く

5日の夕方、「東海テレビスーパーニュース」の放送枠を短縮し「セシウムさん騒動」についての特番が放送されました。冒頭では浅野碩也社長が謝罪、アナウンサーが騒動に至った経緯を説明したのです。

しかしながら騒動はどんどん大きくなっていきます。急遽放送中止、アナウンサーが謝罪を行った8月5日から「ぴーかんテレビ」の放送をしばらく休止することを発表しました。

放送枠はテレビアニメやテレビドラマで穴埋めしていましたが抗議の電話はさらに続き、8日の夜までには1900件、メールの抗議は15000件を超えたと言われています。

そして番組のスポンサーが続々と降板しました。

日本民間放送連盟の広瀬道貞会長(テレビ朝日顧問)が問題を指摘、愛知県の大村秀章知事は「大変遺憾」とし再発防止を徹底することを求めました。

岩手県知事の達増知事も批判しており、10日、浅野社長は岩手県庁に訪れて知事に謝罪をしました。

騒動により「ぴーかんテレビ」は打ち切りに

セシウムさん騒動によって番組スポンサーの降板が続出しました。騒動が起きた当初は農業関係の団体が降板していましたが徐々に民間企業、大手企業も降板していったのです。

最後は20社すべてのスポンサーが降板しています。また、同じ局の異なる番組でもスポンサーが降板していきました。

騒動発生直後は番組は継続するのか否か発表はありませんでした。しかし地元紙が11日の朝刊で番組の続行は難しいと局が判断したことを報じています。

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そして11日の20時、本社にて行われた緊急記者会見では浅野社長が番組の打ち切りを発表、自身の役員報酬を3ヶ月の間50%カットすると伝えました。

加えて役員、社員達8人の減給と降格処分を発表し、以降番組が放送されることはありませんでした。

放送事故といえば剛力彩芽さんも放送事故を起こしたと言われています。詳細は以下からお読みください。

怪しいお米セシウムさん騒動の犯人について

「怪しいお米 セシウムさん」「汚染されたお米 セシウムさん」。この不謹慎なテロップ、それを送出してしまったミスが炎上、社長の謝罪行脚、番組打ち切りにまで発展しました。

騒動を起こした犯人は言わずもがなテロップ作成担当のスタッフです。この犯人は以前からトラブルを抱えていました。

犯人はテロップ作成担当の50代のスタッフ

当選者の住所と氏名を「怪しいお米 セシウムさん」「汚染されたお米 セシウムさん」という不適切な表現で書いたのは50代のテロップ作成担当でした。

なぜ書いたのかと問われた際、悪ふざけだったと本人が認めています。

当然ながら懲戒解雇になった

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騒動を起こした犯人であるテロップ作成担当のスタッフは8月末、所属制作会社より懲戒解雇となりました。

不謹慎なテロップを作成した理由とは

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東海テレビはこの騒動についてなぜ私達は間違いを犯したのかという検証番組を制作しています。

その中で検証委員会がなぜ不謹慎なテロップを入れたのかとテロップ作成担当スタッフに質問する場面がありました。

スタッフはオンエアになるとは思わなかった、思いつきで書いただけですぐに差し替えるつもりだった、不快な表現かもしれないが当時はそこまで考えていなかったということを告白しています。

以前よりトラブルを抱えていたと言われている

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テロップ作成担当のスタッフは当時、外部のCG制作会社に所属していました。

「ぴーかんテレビ」の中では最年長でした。しかし、仕事のペースが遅い、夢中になるを周囲が見えなくなるなど同僚から指摘されており、所属先の上司及び東海テレビのスタッフ間でも評価は芳しくありませんでした。

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そのためスピードや緊張感を要求される生放送番組ではなく自分のペースで仕事を進めることができる事前収録番組への移動をCG制作会社の人事部と東海テレビ側が考えていたのです。

セシウムさん騒動が起こったのはその矢先のことでした。

テロップ作成した男性は30年以上テロップ及びCG作成に携わっていた

犯人のテロップ作成担当スタッフは30年以上同じ局の番組でテロップ、CG作成に携わっていました。

犯人だけではなく監督不行き届きとして役員や製作者も処分を受けた

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犯人の懲戒解雇だけでなく、番組スタッフ数名、そして東海テレビの役員も騒動の責任及び制作者の監督不行き届きを問われました。減俸や降格など厳しい処分を受けています。

セシウムさん騒動がなぜ起きたのか、不謹慎なテロップが作成されたのはもちろん騒動が起こった理由となりますがそれ以外に制作現場や各部署にも問題があっただろうと指摘されています。

役員や製作者が処分されたのは責任を取るという意味もありますが、実際に管理できていなかったことが問題視されたのです。

なぜ未然にセシウムさん騒動を防ぐことはできなかったのか?

「怪しいお米 セシウムさん」と「汚染されたお米 セシウムさん」を書いた犯人であるスタッフは責任を取る形で懲戒解雇となりましたが、現場に問題があったという指摘も多くありました。

なぜ未然にセシウムさん騒動を防ぐことができなかったのか、なぜ迅速に対処できなかったのかという視点で制作現場の問題を列挙していきます。

テロップ作成スタッフがテロップ送出回路の仕組みについて把握していない

テロップ作成担当のスタッフはテロップの送出回路であるT1・T2の仕組みを把握していませんでした。

テロップはT1送出機、T2送出機を操作し送出するのですがスタッフは理解していなかったのです。テロップの誤送出防止策はもちろん、誤送出された場合の復旧のやり方も知りませんでした。

AP兼TK担当の女性スタッフと新人スタッフは事前に確認し叱咤していた

番組にはAP兼TK担当(アシスタントプロデューサー兼タイムキーパー)の女性スタッフと、TK(タイムキーパー)担当の別の若手の女性スタッフがいました。

彼女達は事前に「怪しいお米 セシウムさん」と「汚染されたお米 セシウムさん」のテロップを確認していたのです。

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2名は発注していたテロップの完成を確認する目的でCG制作室を訪れました。そこで騒動となったダミーテロップを発見します。

AP兼TK担当の女性スタッフはテロップ作成スタッフを叱責、修正するように伝えたと言われています。

しかしながらテロップ作成担当スタッフは「いやな文章だわ」というようなことは言われたが修正を求めらえた覚えはないと告白しており、両者でなぜか意見の食い違いがありました。

NEXT プロデューサーやディレクターに報告しないままにしていたのも原因か