黄色い救急車とは?精神異常者を強制入院という都市伝説?由来や経緯について

都市伝説の一つである黄色い救急車。都市伝説では精神病院に患者を強制入院させるために現れると言います。この記事では通常は白い救急車のみのはずが、なぜ黄色いと噂になったのかの由来を調べました。また黄色い救急車によく似た噂の赤い救急車についてもまとめてみました。

都市伝説にもなっている黄色い救急車とは

実在は確認されていないものの都市伝説にもなっている黄色い救急車とは一体どのような物なのかについてまとめました。

黄色い救急車は「頭のおかしい人を精神病院に連れていく」という都市伝説

黄色い救急車とは、よく言われる都市伝説(うわさ話)の一種です。 この都市伝説の内容としては、「頭のおかしい人の前に、黄色い救急車が現れて鉄格子つきの病院へ連れて行かれる」というものです。

日本各地の一部で噂されていた

噂されていた地域は、日本各地にまたがっていて、地域によっては救急車の色が緑であったり青であったりと細部が違う形で伝わっています。

全国的にみると噂での救急車の色は黄色が優勢で、特に北海道、南関東は圧倒的に黄色が多いです。東北南部と北関東、近畿から中京にかけての地域、そして山口から九州にかけては緑色が多いです。

発祥時期はいつ?

風野春樹さんという方が黄色い救急車について調査しており、この方の子供時代、すなわち1970年代半ばには、黄色い救急車についての都市伝説が存在していたようです。

都市伝説の黄色い救急車の経緯や由来

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都市伝説となった黄色い救急車の経緯や由来についてまとめてみました。

救急車が登場したのは1931年

救急車が登場したのは1931年(昭和6年)10月のことで、場所は横浜市です。現在のように救急車が119番で呼べるように法令化されたのは1963年(昭和38年)です。

道路運送車両の保安基準という法令によると救急車の色は白と規定されています。

風野春樹など精神科医が調査を行った結果

個人的なサイトで「黄色い救急車」に関する調査を行なっている風野春樹さんを始めとする多くの精神科医の方が、「黄色の救急車で患者が搬送されるところは見たことが無い」 と証言しています。

風野春樹さんが救急車の色に関する噂をまとめてみたところ、茨城県に青い救急車、宮城県に紫色の救急車の噂があるとのことです。また同時に「通報者にはお金がもらえる」という噂も全国的に広まっているようです。

有力な由来➀ドクターイエロー説

線路の点検などを行っている黄色い新幹線列車が、ドクターイエローと呼ばれており、都市伝説の由来ではないかとされています。

しかし、このドクターイエローが使われはじめたのは、黄色い救急車の噂が流れはじめた時期よりも少し後の、東海道新幹線開業の1964年のことです。

有力な由来➁道路パトロールカー説

黄色に白帯という塗装で、赤色または黄色の回転灯が取り付けてあり、一般道や高速道路の巡回に使われている道路パトロールカーという説もあります。

これらを救急車と見間違えた子供たちが噂は本当だと信じ込んだことも考えられます。

また、地方によって都市伝説で語られる色の差異があるのは、定められたもの以外にも緊急自動車には様々な塗色の物が存在するためではないかと思われます。

有力な由来➂映画の影響説

映画「危いことなら銭になる」の中で、主人公が、宣伝カーに黄色い車を使用して東京精神病院を名乗り患者が逃走したという虚偽の広報をする場面があります。

しかし風野春樹さんがこの映画を観た限りでは、宣伝カーに使用した車は、チキンラーメンの広告のあるバンであり、また、その場面の重要性自体も低いために、この映画が都市伝説の元とは考えにくいとしています。

他にもアメリカの映画「カッコーの巣の上で」で登場する精神閉鎖病棟の患者搬送車の車の色は黄色です。

海外では様々な色の救急車がある

香港の救急車です。日本と違いカラフルです。

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ドイツの救急車です。緊急時は112番に電話をしましょう。

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イギリスの救急車です。緑と黄色のチェック模様でとても目立ちます。

黄色い救急車が来る?精神病院へ強制入院させる方法は?

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患者さん本人の同意なしに強制的に入院させるには、措置入院・医療保護入院・応急入院の3種類の形態があります。

強制入院は知事の決定により行われる

西田広一弁護士によると一つ目の措置入院は以下のような入院形態です。

措置入院は、自傷他害のおそれがある場合で、知事の診察命令による2人以上の精神保健指定医の診察の結果が一致して入院が必要と認められた場合、知事の決定によって行われます。(引用:弁護士ドットコム)

精神保健福祉法に基づく家族等の同意により入院させることが出来る

西田広一弁護士によると二つ目の医療保護入院は以下のような入院形態です。

医療保護入院は、患者さんご本人の同意がなくても、精神保健指定医が入院の必要性を認め、患者さんのご家族等のうちいずれかの方が入院に同意したときの入院もできます。精神保健福祉法に基づく家族等とは、配偶者、父母(患者さんが未成年の場合:両親が望ましい)、祖父母、子、孫、兄弟姉妹、後見人又は保佐人、家庭裁判所が選任した扶養義務者です。(引用:弁護士ドットコム)

応急入院もある

西田広一弁護士によると三つ目の応急入院は以下のような入院形態です。

患者さんご本人または保護者・扶養義務者の同意がなくても、精神保健指定医が緊急の入院が必要と認めたとき72時間を限度として行われます(引用:弁護士ドットコム)

弟を強制入院させた事例

実際に躁うつ病の弟を強制的に入院させた事例もあります。

この時のケースでは患者さんの意見が入院に賛成したり反対したりと、ころころ変わっていましたが、家族の同意があったため入院することになったようです。

患者さんのお兄さんの手記によると、患者さんは診察中に反対していましたが入院となったようです。

完全に頭に来た弟は(それでも、もともと入院する話になっていた事には気づいていないようであった)話す必要は無い、もう帰る、と言い出しましたが、先生の「ではとりあえずご家族の方と、病棟を見てもらって。」の言葉に反応し、「なんで家族と一緒じゃなきゃいけないんだ、私一人で見に行く」と言って、係りの方と共に、病棟へ向かって行きました。弟はそのまま、閉鎖病棟の保護室へと入れられてしまいました。(引用:弟を入院させてしまいました)

措置入院と医療保護入院とは?

精神障害の患者さんが精神病院へ入院する場合、原則として本人の意思に基づいて入院します。これを任意入院と言います。場合によっては強制的に入院させられることもあり、主に措置入院と医療保護入院があります。

措置入院とは、本人が精神障害のために自分自身を傷つけたり、他人に害を及ぼすおそれがあると認められた場合で、二人の精神保健指定医が診察し、意見が一致しなくてはなりません。
医療保護入院とは、本人の治療及び保護のために入院の必要があると認められた場合で、保護者の同意および一人の精神保健指定医の診察が必要です。(引用:ふらっと相談室)

黄色い救急車が登場している作品

小説中に黄色い救急車が登場している作品についてまとめてみました。

井上光晴「動物基地」

1973年に井上光晴さんの書かれた「動物墓地」という小説の中で、ケロリとしながら、時々嘘をつくお手伝いさんが、精神病院へ患者を運ぶ救急車が黄色であることを教えてくれたという話があります。

桜庭一樹「推定少女」

2004年に桜庭一樹さんの書かれた「推定少女」という小説の中では、山の麓にある精神病院からは“黄色い救急車”が降りてきて、連れていかれるとどこも悪くないのに出てこられない、という描写が加わっています。

実在する赤い救急車・赤い車とは?

こちらも噂に出てくる赤い救急車について実際は何の作業を行っているのかまとめてみました。

赤い救急車は消防車

赤い救急車は消防隊員の運搬用の車で、つまり消防車のことです。急患が多くて、救急車が消防署にいない場合、臨時で救急車の役目をするため、救急隊員が待機中の消防車に乗って救急現場に駆けつけてくれます。

救急隊とペアで登場する救命活動車

救急車の後ろから走っていく赤い車は救命活動車です。救急資格者が乗車していて、機動性に優れた小型乗用車タイプの車両を用いています。

救急車が進入できない狭い道の現場へも優れた機動性を活かして、いち早く急行することができます。

救命活動車は、患者を搬送する機能はありませんが、救急現場に少しでも早く到着して救命処置を開始するため、救急隊とペアで出場します。AEDを始めとし、救急車とほぼ同じ救急資器材を積んでいます。

迷惑行為・ODで繰り返し救急車を呼ぶことは病院側にも多少の負担になる

現在OD(オーバードーズ:薬の過剰摂取)によって搬送されて来る患者さんの数は、救命救急センターに搬送されて来る患者さんの1割にも達するといいます。

薬の過剰摂取の原因には色々な背景があり、ただ処置のみをすれば良いというものではありません。中には治療費が払えなかったりする患者さんや、何度も繰り返し搬送される患者さんがいます。

このように薬の過剰摂取によって繰り返し救急車を呼ぶということは病院側にも、少なからず負担となっています。

アメリカにも赤色主体の救急車がある

日本ではほとんどの救急車が白地に赤いラインで統一されていますが、アメリカにおいては各都市の病院、民間救急サービス、消防ごとに塗装色が違っており、白地に青ライン、赤地に白ラインなど色々な車両があります。

世界的には白地に赤十字の配色である蛍光橙色または赤色ラインの車両が多いです。

黄色い救急車と似たような噂

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黄色い救急車の都市伝説には、地域によって少しずつ細部が異なって伝わっている部分があるようです。ここでは黄色い救急車と似たような噂についてまとめました。

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