アミニズムとアニミズムの違いは?意味や由来・具体例について

宗教や神、信仰などの話題が出るとき、よく引き合いに出される単語が「アニミズム」です。ただ、この単語を「アミニズム」と記憶している人も多く、よく混同されます。どちらが正しいのでしょうか?今回はその「アニミズム」の意味や由来などについて解説します。

アニミズムとは?違いや意味

まず初めに、アニミズムについての基礎知識を説明します。

アニミズム?アミニズム?混合しないようにするには

アニミズムの記憶違いのフレーズで「アミニズム」があります。これは単なる間違いですが、このフレーズで記憶してしまっている人も少なくありません。どちらか迷ったときに思い出してほしいのが、その語源。

アニミズム(animism)の語源はラテン語のアニマ(anima)です。アニマは生命や魂を意味する言葉ですが、アニマル(animal)やアニメーション(animation)の語源もこのアニマです。

迷ったときはアニマルやアニメーションと同じ語源だったことを思い出すと「アニミズム」という単語がうまく導き出せます。

タイラーのアニミズムの意味・由来

アニミズムという単語は、元々1871年に人類学者のエドワード・バーネット・タイラー(イギリス)が記した「原始文化」という著書の中で紹介されました。

タイラーはアニミズムの定義を「自然界すべてのものに、魂や精神が宿っているという前提で、それら霊的存在に対して信仰をもつこと」としました。そしてこのアニミズムが人類の宗教の起源としています。

マレットのアニミズムの意味・由来

タイラーの弟子、マレットは信仰にはこのアニミズムよりも前の段階があると考えました。

アニミズムの言う霊魂は人格的なイメージですが、マレットは非人格的な脅威の存在を自然界に認めるところから信仰は始まっていると捉えました。マレットの考え方はプレアニズムと呼ばれます。

マレットの発想の基として、太平洋諸島の民族たちに信じられていた「マナ」という概念があります。「マナ」という人格を持たない霊的な存在・力が人やものに憑依することで驚異的な変化をもたらすという考え方です。

アニミズムの捉えかた

アニミズムとは特定の信仰のスタイルと考えるのではなく、世界中の地域文化に根差した信仰に見られる共通の特長です。自然界に霊的存在(アニマ)を感じるという感性から成り立っている信仰が多いのです。

日本でのアニミズムについて

世界中の信仰で認められるアニミズム。日本の場合はどうなのでしょう?

日本では八百万の神というアニミズム思想があった

日本の古神道には元々、自然界に存在する山川草木を含めたすべてのものに神が宿っているという発想があります。この気が遠くなるような数の神を総称して八百万の神と呼んでいます。

自然界すべてのものというと大げさに聞こえるかもしれませんが、古神道の発想では日常生活にも神を感じます。例えば家の中であれば、台所には台所の神、トイレにはトイレの神というようにです。

その延長でいうと、飼っている動物も神ですし、家族(人間)も神なので、皆に感謝しましょうという発想になるのです。

アニミズム思想は仏教用語に言い換えると「山川草木悉皆成仏」

仏教用語にもアニミズム思想に通じる言葉があります。「山川草木悉皆成仏」という言葉です。この世に存在するものはすべて同じ原物質からできているので、この世のすべてのものに仏性が宿っているという考え方です。

日本発祥の神道とアニミズム

日本発祥の神道の発想とアニミズムは、「自然界のものには霊的存在が宿っている」と捉える点で共通していますが、神道はさらに周りの環境(自然界)と自分たち人間を切り離していません。

自然界には八百万の神があり、自分たち人間もその1部であると考えます。つまり、人間も神の分け御霊であると捉えるのです。この捉え方を「かんながら」といいます。神さながらという意味です。

アニメや漫画で「〇〇の精霊」と出てくるのもアニミズム的考えである

ファンタジー色の強いアニメや漫画の設定でよく使われるのが「〇〇の精霊」、「〇〇の神」というもの。これはアニミズム的な発想と言えます。

物語を作成する上でこうした設定が定番で採用されるということは、我々も日常で少なからずアニミズム的な発想をしていて、そうした感性を内在しているからなのかもしれません。

ジブリ作品「もののけ姫」もアニミズムな世界観

ジブリ作品「もののけ姫」の物語設定はアニミズムの特色がよく表れています。日本の古代の民族紛争を物語設定のベースにしていますが、そこに絡むアニミズム的な発想やキャラクターは物語を大きく特徴付けています。

環境をモノと捉えて拮抗するか、霊魂が宿る仲間として捉えて共存の道を模索するかが主なテーマとなっています。

日本の風習のほとんどがアニミズム

日本人として当たり前のように係わっている風習もほとんどがアニミズム的な発想が基になっています。先祖霊が年に1回子孫の家に帰ってくるというお盆はその典型例です。

他には、その年に大歳の神が鎮座する方向にお参りに行くと幸運の力が得られるという恵方参りというものもあります。

家を建てる、車を買うといったときにお祓いを受けますが、これにもちゃんと祓戸の神という担当の神がいるのです。

アニミズムの具体例

海外にもたくさんのアニミズムの具体例があります。

アイヌのイヨマンテ(クマ送りの儀礼)

アイヌのイヨマンテ(クマ送りの儀礼)とは、子熊を山の神から預かったとして、自分たちの家で大きく成長するまで家族の一員として育てるという風習です。成長したあかつきには、皆で祝宴をして山に送り出します。

現在は野蛮な風習と風潮されたため、行われなくなりました。

先住民族イヌイットによる狩りの前の儀式

カナダ北部やアラスカ、ロシアの極東地域で生活している先住民族イヌイット・エスキモーはアニミズム的な自然崇拝の生活様式を持っています。

狩りの前には、霊に狩りのサポートをお願いするため、伝統料理をつくって儀式をするという風習があります。

中世ヨーロッパのアニミズム

中世ヨーロッパにもアニミズム的な概念が存在し、穀物や動物には霊が宿ると考えられていました。特に動物には悪霊が宿りやすいと考えられ、実際に弁護人がついた正式な動物裁判も行われました。

東部インドの特定の地域で働く木こりが信仰している木の精霊

インドでは伝統的に、自然神崇拝を基にしたヴェーダ神話が生活風習の根底にあります。木を伐採する際も、木は精霊が宿っていると考えられているため、伐採する前に木に情をかけてから伐るという風習があります。

アフリカの民族「バカ族」が信仰しているジェンギ

アフリカの民族「バカ族」はアニミズム的な信仰風習を持っています。ジェンギという自分たちの祖霊・守護霊と考えられている森の聖霊を信仰しています。

狩りが成功したときはジェンギに対して感謝を示す踊りの儀式が行なわれます。

ネパールのシェルパ族が信仰している神と悪魔

ネパールの少数民族の一つであるシェルパ族の人々は、仏教とアニミズムを融合させた独特の信仰風習を持っています。

聖なる山には神々が宿っていると考えており、外国の登山者が来る前は自分たちでヒマラヤを登山することはなかったといいます。

また、登山の際は悪魔に登山を邪魔されないよう、祭壇を築いてお経をあげ、安全祈願します。「プジャ」という儀式です。

アニミズムは人間の成長過程でも見られる

アニミズムの特徴は人間の成長過程にも見られます。

幼児の玩具などが生きていると遊ぶこともアニミズム

幼児が玩具に話しかけたり、カブトムシに相撲を取らせたりして遊ぶ行為は、自分と対象物を同等と捉えている状況であり、アニミズム的といえます。

教育上でも活用されている

我々も、この幼児のアニミズム的な反応を教育上、利用することがあります。

馬の玩具が片づけられずに放っておかれたときに、「お馬さんが寂しそうだよ。おもちゃ箱にかえしてあげよう。」と幼児に語り掛けたりします。

幼児が描くイラストにもアニミズムが見られる

幼児のお絵描きを見ると、対象物に目や鼻が描かれていることがよくあります。これはアニミズム的といえます。車やポストも自分と同じ存在と捉えているのです。

発達心理学者ジャン・ピアジェの発生的認識論でもアニミズムが書かれている

スイスの心理学者ピアジェは、幼児が玩具などのものに話しかけるような、無生物を生物と同じように扱う状況は、幼児が自分の心理状況と外部状況を区別していないと結論づけました。

ピアジェが提唱した幼児発達の4段階の内、2~7歳の「前操作期」で見られるとしています。

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アニミズムは宗教?世界観?

アニミズムという概念はテーマが大きいため定義が難しいといえます。

アニミズムを宗教で定義づけることは難しい

アニミズムとはそれぞれの地域でその民族風習の中でかたちを変えて存在しているので、一概に宗教と定義づけるのは無理があるでしょう。

自然や人間との関わりを考える上での世界観という意見が有力

アニミズムとは人間が共通で持っている環境の捉え方・外部認識の仕方・感性の一つと言えるので、世界中の多くの民族に見られる共通の世界観ともいえます。

日本のアニミズムに対する海外の反応

そんな中で、日本のアニミズム的な発想”八百万の神”の考え方は、海外の人からも注目されています。

海外の人は日本の仏教や宗教に興味津々の様子

日本人で特定の宗教を持っている人は2~3割程といわれていますが、”八百万の神”的な発想は多くの日本人が持っています。四季折々の自然のあり様に敬意を表して共生していこうという生活様式が日常に存在します。

そんな日本人のありかたについて、海外の人からは「日本人の感覚のゆったりした感じが好き」「調和が大事であることを教えてくれる」「キリスト教と比べると興味深い」といった感想が多く挙がっています。

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