「桃娘」は実在したのか?桃娘の人生と歴史【中国の都市伝説】 社会

「桃娘」は実在したのか?桃娘の人生と歴史【中国の都市伝説】

中国に秦代から伝わる都市伝説桃娘。桃だけを与えられて育てられた彼女らを不老長寿の妙薬として金持ち達は買い求め、その体液を飲み、肉を食べると言います。桃娘は虚弱で寿命は短く、儚げな存在で歌劇「虞美人」にも同じ名の人物が登場します。現在まで伝わる伝説をまとめます。

目次

[表示]

中国の都市伝説桃娘(トウニャン)とは

桃娘(トウニャン)は中国に伝わる伝説で、赤子の時から主食に桃だけを与えられ育てられた少女で、その体や分泌される体液は妙薬であるとしてアジアの金持ち達はこぞって買い求めたとされます。

桃娘の話は、古い時代から伝わる伝説で、真実であるとも創作であるともされ、実在しないとも、現在でも一部の権力者の間では密かに続けられているとも噂されるいわゆる都市伝説の類です。

桃娘の実態とその扱われ方

ほとんど桃だけを与えられて育てられた桃娘は、体臭はほのかな桃の香りがし、唾液や汗、尿に至るまで甘い香りがするのだそうです。また、夜には桃娘を性の対象として扱ったともされています。

生まれてから、ほとんど桃だけを与えられた桃娘は体が非常に虚弱であり、寿命が短くほとんどが10代の内に死亡したとされます。また性交渉の刺激にも耐えられず、行為後には程なく死亡してしまうとも言われます。

桃娘の実態は、現在の感覚で言えば、性奴隷であり売春婦のような存在です。その扱いは人道に反しており、おぞましい印象も受けますが、古い時代には奴隷制も人身売買も普通の事として行われていた事実もあります。

中国が秦と呼ばれていた頃から存在すると言われている

桃娘は一説には中国の秦の時代(紀元前778年から 紀元前206年)から存在していると言われています。ただの創作であるともされますが、現在でも密かに続けられ、今も実在しているとも噂されているのです。

秦の時代といえば数千年もの前なので、正確な記録は少なく、多くは伝説や伝承によって語られます。そのために何があったとしてもおかしくは無い時代とも言える為、桃娘も真実かもと感じさせる余地があります。

桃は不老長寿の食べ物として重宝されていた

桃は現在では、甘くて瑞々しい美味しい果実として食べるイメージが強いですが、桃の原産地である中国では古くから桃は主に薬用として用いられ、現在でも桃の葉や種子を薬用として使用されます。

また、桃には薬であると同時に、不思議な力が宿ると信じられ鬼や邪気を払う力があるとされました。仙人が主に食べる物であるともされ、不老長寿の効能も信じられて、珍重されてきました。

日本でも平安期の資料には桃を薬としてあつかった記録や、鬼を払うために桃の木を使ったとの伝承も残っています。「古事記」には桃の実を投げて追っ手を撃退した話も残るなど、神聖なイメージがありました。

桃娘は金持ちの性奴隷として扱われた

桃娘を買い求めた中国の金持ち達は彼女らを不老不死の妙薬としてだけでなく、夜になると性奴隷としても扱ったとも伝わっています。

しかし、乳離れの時期からほとんど桃だけを与えられていた桃娘の体は激しい性行為には耐えられないほど虚弱であり、初体験と同時に死亡してしまうとされます。

その為、性の対象とするのは最後の最後であり、それまではあくまでも薬を分泌する存在として扱われていたとされます。そしてその最後の性行為すらも不老長寿の効果があるとされていました。

金持ちは糖尿病となった桃娘の尿・汗を飲み肉を食べる

離乳の時期と同時に主に桃だけを与えられ続けた桃娘達は糖分摂取量が過剰となるために必ず糖尿病になってしまい、その尿からは甘い匂いがしたと言われています。

桃娘を買った金持ち達は、不老長寿の効果がある妙薬であるとされる桃娘のその甘い香りがする尿や汗などを採取して飲み、桃娘が一定の年齢になるといわゆる二足羊として殺害してその肉を食べると伝わります。

桃だけを食べる桃娘の最期と寿命

ここまで書いてきたように、桃娘は桃だけを食べるために非常に体質が虚弱であり、糖尿病にもなってしまい、寿命は極めて短くほとんどの場合10代の間に死亡してしまうとも伝わっています。

また、激しい性交渉には耐えられないため所有者との性交渉で死亡してしまうケースもあったとされます。さらにその肉体も不老長寿の効能があるとされたため、桃娘の寿命が来る前に殺してその肉を食べるともされます。

現在の感覚からすると非常におぞましく不気味な話ですが、金持ちの欲望のためだけに育てられ、薬として売買され寿命も短い桃娘の都市伝説は、同時に儚げなイメージも想起させます。

都市伝説と言われる桃娘は実在したのか?

さて、あまりにも衝撃的で信じがたい内容の都市伝説「桃娘」ですが、本当に実在したのでしょうか?古い伝承なのでなんとも言えませんが、実在はしていないという説の方が有力です。その根拠を紹介します。

桃娘は嘘?秦の時代で年中桃は入手できなかった

まず、桃娘は糖尿病になるほど、桃だけを食べさせられ続けて育てられるとされますが、秦の時代の中国では夏場以外に桃が手に入ったとは考えづらいという疑問が湧いてきます。

現在のように保存技術もなかった時代、腐りやすい桃は大変貴重な食材でした。まず桃娘に与える桃を年中確保するのが不可能な上に、膨大なコストをかけて虚弱な1人の人間を育てるのはリスクが大きすぎます。

いくら、それ相応の高値で取引されたと仮定しても、あまりにもコストがかかり過ぎた事が推測され、それだけの高値を払える金持ちが一体どれほど実在したのかという疑問も湧いてきます。

ネットで検索しても歴史の中に桃娘はほとんど書かれていない

ネット検索をいくらしてみても、正史の中には桃娘が実在したという記録は出てきません、かなり以前から桃娘の伝説は囁かれていますが、ほとんど噂レベルのみで伝わっているためその信ぴょう性は極めて低いです。

ただ、人間を売買するという風習は当たり前の様にあったことを考えると、似た様な売り込み方がされた奴隷が存在していたとしてもおかしくは無いでしょう。

ただでさえ、おぞましい歴史は隠蔽されてしまう事が多い為、もしかしたら隠されているだけであり、この元となった何らかの真実が存在するという可能性は否定できません。

近代の創作とも言われている

桃娘の都市伝説は、そもそも近代の創作だと言われており、その初出はある小説の冒頭部分だとする説もあるようです。ただ、その小説が何なのかは確認できませんでした。

確かに、この都市伝説桃娘は昭和や大正の時代に流行した、横溝正史や江戸川乱歩などの怪奇小説的なイメージが色濃くあるように思えます。この点からも桃娘は実在せず創作であると考えるのが妥当でしょう。

桃娘のような食事管理を現在で考える

桃だけを食べるために極めて虚弱な体質で寿命が短いとされる桃娘。糖尿病となりその尿は甘い香りがするとされますが、この様な食事管理方法を現代の知識から考えるてみたいと思います。

桃だけでは栄養が足りない

まず桃娘は糖尿病になる程に桃だけを与え続けられたとされますが、当たり前の事ながら桃だけを食べていても生存に必要な栄養は摂取できません。

人間の成長や生存に絶対に必要な炭水化物、タンパク質が必ず不足するので、成長する前に栄養失調で死亡してしまう可能性が高いでしょう。従って桃娘は実在しない可能性が高そうです。

現在もフルーツしか食べない男性が話題に

しかし、驚くべきことに現在の日本に8年間水すら飲まずにフルーツだけを食べ続けているのに糖尿病にもならずに健康に生存している男性が存在するとして話題になっています。

この男性はテレビのバラエティ番組に出演し、8年間フルーツを食べ続けていた結果、腸内に窒素をタンパク質に変える菌がいる事が確認されるなど、まさに進化とも言える変化を起こしているそうです。

この事実から考えれば、桃娘の話ももしかしたら本当に実現可能であったのかもとの想像が働きます。人間の体の中では時に想像を絶する事が起こるえるという事なのでしょう。

果実食中心のためたんぱく質の摂取が足りていない中野さんの腸内には、空気中の窒素をタンパク質に変える菌が確認され、大学の研究者が「一般の人と全く違う」と驚愕したという。

(引用:ニコニコニュース)

桃娘にサプリを与えると寿命は延びるのか

それでは、桃娘に現在の医学を駆使してサプリメントなどを与え、インスリンなどの糖尿病治療薬を与えながら育てた場合は寿命などは伸びるのでしょうか?

不足する栄養素に関してはサプリで補い、糖尿病に関しては糖尿病治療薬であるインスリンを与えて治療を行うとすれば、寿命自体は間違いなく伸びると思われます。

桃だけを与え続けた場合と比較して桃娘の特徴である匂いについては変わるのかも気になるところです。多少の変化はあるかも知れませんが、サプリや薬程度では大きくは変わらない可能性が高そうです。

都市伝説桃娘の関連作品

都市伝説である桃娘を題材とした作品などはあるのでしょうか?宝塚歌劇団のミュージカル作品「虞美人」は秦の時代の中国を題材にした戯曲「項羽と劉邦」を原作にしています。

「虞美人」の登場人物に「桃娘」という役柄が登場しますが、こちらは都市伝説の桃娘となんらかの関係があるのでしょうか?また、桃娘はその儚げな印象から度々イラストや創作漫画の題材としても扱われます。

宝塚歌劇団「虜美人」

宝塚歌劇団で1951年から演じられているミュージカル「虞美人」には桃娘というキャラクターが登場します。虞美人は中国秦の時代をテーマにした「項羽と劉邦」を原作とするなど都市伝説桃娘との共通点が見えます。

しかし、この虞美人に登場する桃娘は登場する権力者の娘であり、桃を食べる描写も性奴隷の様な描写も一切ありません。虞美人に登場する桃娘は都市伝説とは全く関係がないと言えそうです。

虞美人は戦後の早い段階で作られたミュージカルであり、当時の時点で桃娘の都市伝説が存在していたかも不明です。もしかしたら虞美人の登場人物から着想を得て桃娘の都市伝説が創作された可能性もあります。

イラストや創作漫画でも描かれている桃娘

桃娘はその残酷ながらも儚げな内容、また、絶対に不健康であるにも関わらず何故か汚れのない美しい少女を連想させるそのイメージから、イラストや創作漫画の題材としても度々用いられています。

冷静に見れば、グロテスクで目を背けたくなる様な題材だと感じますが、何故かそういった雰囲気を持つものに惹きつけられるのもまた、人間の持つ性だと言えそうです。

また、桃娘はそこまで有名な都市伝説では無いため大々的にテーマとして扱われることは少ないですが、映画や小説などでも、桃娘をモチーフにしたちょっとしたエピソードが登場したりもします。

桃娘伝説は何故生まれ広がったのか?

現代の感覚で言えば、桃娘はいわゆる性奴隷であり売春婦ともいえますが、桃娘が伝承される秦の時代では奴隷制や人身売買は普通に行われていたので、そこまで突拍子もない話だとは言えません。

桃娘に関しても一概にただの都市伝説だと言い切れない部分もあります。桃だけを与えられるという点は色々な面で疑問があるとは言え、性奴隷や人身売買のために育った女性は実在したとしてもおかしくありません。

また桃娘の肉を食べるという伝承にしても、中国には両脚羊として人を食べた伝承が残り、絶対に無いとは言い切れないのです。こういったいくつかの点が、桃娘の都市伝説は生まれ広まった原因では無いでしょうか。

中国では古代から近世にかけて食人の習慣が非常に盛んであったとされる。中国が他文化の食人と比べ特徴的なのは、食人が精神異常行為、宗教的行為、緊急避難行為などではなく、恒常的な食文化として根づいていたとされる。膨大な文献が中国における日常的な食人行為を伝えている

(引用:Wikipedia)

桃娘と似た世界の風習や都市伝説は?

桃娘は、食人や性奴隷をテーマに生まれた都市伝説だと考えられますが、奴隷や人身売買、さらには食人文化などの闇の歴史は人間の歴史の中に確かに存在してきました。

それらは決して伝説などではなく、実際に記録にも残る紛れも無い事実なのです。そして、そういったものを元にして創作された都市伝説もまた、どこかで現実的な印象を含んでしまうのでしょう。

人肉は薬用になると信じられてきた

桃娘の肉は不老長寿の効能があるとされましたが、人間の肉が薬用として用いられてきた歴史は世界中に存在します。人間のミイラを粉末状にして漢方薬として用い、それが日本にも輸入されていたとの記録も残ります。

また、脳や肝臓が薬に加工された記録も残っており、中世までは食人に対して現在ほどの抵抗感は無かったと考えられます。その他、欧州を中心に死者の血肉が強壮剤や媚薬だと考えられる文化も存在した様です。

性奴隷の都市伝説だるま女

だるま女の伝説は桃娘よりもかなり有名な都市伝説でしょう。これは1980年頃に流行した都市伝説で、海外(アジアだと言われる)を旅行していた女子大生が試着室に入ったきり行方不明になります。

その数年後、一緒にその時海外旅行をしていた友人が別の国を訪れていた際、手足を切断されだるまの様な姿にされ見世物にされているのを発見するという都市伝説です。

これも残忍な都市伝説ですが、中国の伝承として漢王朝をおこした劉邦の正妻が、側室を殺害してだるま女の様な姿にして晒したというものがあり、これをモチーフにして生まれた伝説だとも言われています。

都市伝説の桃娘とは違う「桃娘」

都市伝説桃娘は説明した様にかなりグロテスクな存在ですが、それ以外にもクリーンで可愛く、美しいイメージを持つ桃娘があるので混同を避けるためにも紹介しておきたいと思います。

岡山駅のキャンペーンガール桃娘について

岡山駅で1952年から1996年の数十年の長きにわたって行われてきたPRのための桃の即売会があります。この時に桃を販売していたキャンペーンガールは「桃娘」とネーミングされていました。

これはミスコンとしての一面もあり、オーディションで選ばれた桃娘は総勢で700名以上にもなります。しかし、経費削減のために1996年に終了します。

2011年には山陽新幹線〜九州新幹線の開通で観光客増加が見込めるとして、期間限定として15年ぶりに復活し、一般公募によって5人の女性が選ばれ、話題となりました。

四季成りイチゴ「桃娘」

四季成りイチゴの品種にも「桃娘」というものがあります。春から秋までイチゴがなるそうですが、食べるというよりは園芸で趣味として愛でるための植物である様です。

綺麗な花が咲き、気温によってピンクから白とピンクの2色、ピンクと移り変わるそうです。イチゴなのに桃娘とは妙な感じがしますが、確かにピンクから白に移り変わる様子には桃のイメージがあります。

この様な例から都市伝説として以外の桃娘はやはり可愛いイメージで用いられる言葉である事がわかります。そのおぞましい内容の伝説とのギャップがまた印象的に感じてしまいます。

桃娘の都市伝説はどこへ向かうのか?

桃娘の都市伝説は早くはネットの黎明期である2000年頃からすでにネット上にて囁かれていました。それ以前にも一部書籍などで書かれたりもしており、かなり息の長い伝説である事は確かです。

しかし、桃娘の都市伝説はあまり知られておらず、初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか?有名でないにも関わらずこれほど息長く語り継がれる理由は、何故か惹きつけられるその存在感にありそうです。

桃娘は性奴隷の様な存在になるために桃だけで育てられ虚弱であり寿命が短く、権力者の欲望を満たすだけに生まれて死んでいく恐ろしくも儚い存在であり、ドラマ性とグロテスクさが共存しています。

また、桃娘という単語からは妙に可愛らしい様なそれでいてエロティックという実際の伝説とはちぐはぐな関係になっています。このちぐはぐさにはどこか引っかかる部分があり記憶に残ってしまいます。

この様にして、かなり古くから桃娘の伝説は語り継がれてきたのではないでしょうか?そして今後も、決してメジャーな都市伝説になる事なく、儚げに語り継がれていく可能性が高いでしょう。

内容はとてもおぞましく、好んで思い出して人に語りたくなる様な話ではないのですが、一度聞けば記憶の中に残り続け、ふとした瞬間に思い出してしまう。桃娘の伝説はそんな存在なのではないでしょうか?

NEXT:その他都市伝説に関する記事はこちら
1/2